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さて、お手元の青い色をした資料に沿ってご説明をさせていただきたいと思います。
2ページをご覧ください。
目次で、黄色いタイトルになっている項目が、今回、特別に編集したところです。
時間の関係で、この黄色い項目を中心にご説明をさせていただきます。
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11ページをご覧ください。この38ステージの気象の状況についてコメントしてあります。
大きな特徴は、黄色い文字で書かれていますが、「気温が高く、降水量が少ない」という点にあります。そしてそのあとも現在に至るまで、今年の冬は降水量が少ない、という状態が続いています。
この「雨が少なかった」ということが、このステージの堀川の印象に大きな影響を与えたかもしれないと私は思っています。雨が少ないということは、堀川に合流式下水道から汚濁物質の流入が少なかった、ということに他ならないからです。
特にその現象は、堀川上流部の猿投橋から、名古屋城付近の朝日橋のデータにも現れているように思います。
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40ページをご覧ください。これはこの38ステージ、つまり秋から冬にかけての水の汚れの印象を区間別にグラフにしたものです。左の上は、猿投橋から城北橋、その青いグラフの一番右が
きれいからどちらともいえない、つまり5段階評価の上から3つ、5,4,3の割合を示しています、この区間では、なんと92%になっています。
その下が、城北橋から朝日橋の区間です。この区間も93%と高い評価になっています。
残念ながら右上の町の中心部、朝日橋から松重橋間は36%と改善が遅れていますが、これは護岸の整備やヘドロの浚渫がまだ遅れている場所があることが影響していると思われます。
右下の松重橋から大瀬子橋はほぼ横ばいを保っています。
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実は、あとからお話を続けますが、今年3年ぶりに、名古屋城の石垣がボラを追って集まってきたカワウのフンで真っ白になるという事件が起き、全国ニュースで報道されました。
この3年ぶり、というのに関係があるのかどうか、現時点では想像にすぎませんが、40ページの左下の緑色のグラフ、城北橋と朝日橋の間の区間の3年前の数字を見ると85%、4年前は88%と数字がよかったことがわかります。
ひょっとして3年前にボラが大量遡上してきたことと関係があるとすると、ボラは少しでもきれいな水を好んで上がってくることになり、それを狙ってカワウの大群が名古屋城に巣を作って居ついてしまい、3年ぶりに石垣が真っ白になったことにつながった、そんなストーリーが成立するのかどうか、現時点では全くの仮説にすぎませんが、とても興味深い話になると思います。
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私はほぼ毎朝、堀川上流部でカワウの様子を観察してきましたが、ボラ自体はあまり見かけませんでしたが、カワウはものすごい数が水面に降りてきて、入れ食い状態でボラをくわえている姿をたくさん見ました。カワウについてくるように、アオサギやダイサギの、大型のサギが一緒に飛んできて、護岸に立って、カワウの様子を見ている姿もたくさん見ました。
ボラは、堀川の水質、特に水中の溶存酸素の状態が良いときは、水面にこなくて、川底を泳いでいるので、私たちが見ていてもボラがいるのかどうかはよくわかりません。
しかし、大潮の干潮時に水位が下がった時に観察すると、かなりたくさんのボラがいることが肉眼で確認できました。
こうしたカワウやサギ、ボラの様子については、事務局でたくさん動画や写真を記録していますので、本日はその様子を11分ほどの短い動画にまとめてみました。お楽しみいただければと思います。
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さて、今日は2ページの黄色い項目のうち、生き物つながりで、「6.8.2 堀川・新堀川で冬を越す水鳥たちの謎」というテーマのご説明に移りたいと思います。
今回、このテーマを取り上げた理由ですが、名古屋の近くには、自然豊かな木曽川や庄内川などがあるのに、なぜ、カモなどの渡り鳥は冬になると、わざわざ堀川や新堀川をえらんでやってきて冬を越すんだろう?もっとよさそうな場所がいっぱいあるのに、こんなにたくさんの冬鳥は、私たち人間が決してきれいとは思っていない堀川や新堀川のどこが好きで、どこに魅力を感じてやってくるんだろうか?
鳥の気持ちになって考えてみたら、ひょっとしたら今後の名古屋の都心における水辺の整備に生物多様性の観点からも、魅力ある水辺をつくってゆくヒントがあるんじゃないか?
そういう発想で考えてみたものです。
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まず、冬鳥はどこから堀川にやってくるのでしょうか。
130ページをご覧ください。
冬鳥の多くは、夏の間にシベリアなどで繁殖し、寒い冬を日本や東南アジアで過ごしています。堀川・新堀川では、私たち市民の観察・記録によって、8月ころ(昨年2025年の場合は8月8日に初確認)から飛来が確認され、冬を過ごして5月ころ(2025年の場合は5月10日)までに旅立つことが分かっています。
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それでは次に、水鳥たちは、何を食べてるの?
これについては、以前の調査隊会議で、冬鳥たちのエサの取り方で2つの種類に整理しています。
131ページをご覧ください。
ここには、堀川・新堀川で主に観察・記録された水鳥(冬鳥)たちの写真を整理してあります。
上の7種類のカモたちは、水面に浮いているエサをついばんで食べているカモたちです。
下の3種類の鳥たちは水に潜ってエサをとっている鳥たちです。
それぞれの写真に、どんなエサを食べる鳥なのかが書いてあります。
例えば、上の段の左から2番目のヨシガモを見ると、主に植物を食べていることが分かります。
穀類とか、植物の種、水生植物、藻の類などです。この資料は文献から引用したものです。
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じゃあ、このヨシガモは、堀川のどこにきているの?というのを整理したのが132ページの表です。
左から2番目がヨシガモですが、このヨシガモは、Bの金城橋から田幡橋、Cの城北橋から金城橋の間でしか観察されていないことが分かります。この田幡橋から下流の城北橋までの間は、右岸側にヨシが植栽されている区間です。
ヨシガモは、名前のとおりヨシの生えている区間を好んで堀川にやってきて、それ以外の場所では見かけないのです。
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もういちど131ページに戻って、ヨシガモの下のオナガガモをご覧ください。
文献では主に植物食とあり、植物の主旨、植物片、水草、藻類などを食べるとあります。
では、このオナガガモが堀川のどこで確認されているかというと、@の猿投橋から志賀橋、Aの志賀橋から田幡橋の間で主に観察されていることが分かります。
また、このオナガガモは、実は名古屋城のお堀で寝ている場面も観察されています。
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ところで、131ページの下の吹き出しに書いてあるのですが、文献では、「主に植物食」の種類と記載されていても、堀川では、イトミミズのような動物を採餌している様子が確認されている鳥がいます。
それが、このオナガガモなんです。
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オナガガモは特に北清水橋の下や、親水広場からわくわく地下水が落ちてくるあたりで、干潮で水位が下がった時に、上半身を水中に突っ込んで、川底のイトミミズを食べている様子を私も見ています。
134ページの左下に、オナガガモが逆立ちするような恰好をして川底のエサをとっている写真があります。
北清水橋の下付近は、川底がまっかになるほどイトミミズがいて、オナガガモたちはそのイトミミズを目当てに暗いうちにそこに集まってきてイトミミズを食べ、明るくなると、名古屋城のお堀に帰って行って、眠るように休んでいる姿が、観察されました。
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そういう目で132ページの表を改めてみていただくと、鳥の種類によって、堀川・新堀川でも場所を選んで分布していることがよくわかります。
たとえば、左から3番目のヒドリガモ、これは頭が赤く、いわゆる緋色に見えるのでヒドリガモと呼ばれるのだそうですが、堀川ではごく一部の場所で見られるものの、主に新堀川にしか見られないことが分かります。
ふたつ右のハシビロガモも新堀川でしかほとんど見られないカモです。
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反対にコガモは、堀川でも新堀川でも、まんべんなく見ることができます。
またその右の潜水採餌の鳥、ホシハジロは、堀川でも新堀川でもまんべんなく見かける鳥です。131ページの左下の、頭がチョコレート色で体が白いツートンカラーの鳥です。
その隣のキンクロハジロは、頭が黒くて体が白い部分の多い、きれいなツートンカラーの鳥ですが、この鳥も堀川では松重閘門付近より上流でまんべんなく見られ、新堀川では堀川との合流部と先端の上流部でみられます。
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またホシハジロとキンクロハジロはよく一緒に群れていて、オスは区別がつきやすいけれど、メスはよく色が似ていて一見してよくわからない、というようなこともあります。
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いくつか例を挙げましたが、こうした観察から、私たちが気が付いてきたことがあります。
それは、水鳥たちには、それぞれが好むエサのある場所、そして安全に休める好みの場所があって、それは私たち人間が先入観でもって、「あの汚い堀川や、まして新堀川には、鳥は好んでやってくることはないだろう、と思い込んでいても、実は必ずしもそうではない、という事実です。
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133ページをご覧ください。
堀川・新堀川で観察される水鳥(冬鳥)の分布状況を地図に落としたものです。
水鳥がよく見られる場所と、見られない場所がきっくりと分かれていることがよくわかると思います。
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それでは、水鳥(冬鳥)が観察されたのは、どんな場所、どんな場面なのか。
これまでに私たち堀川1000人調査隊が記録・蓄積してきた膨大な数の写真から、いろいろなパターンを整理してみました。それが、134ページから140ページまでの資料です。
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まずは水面でエサをとる、水面採餌種のうち、水深の浅い場所でみられるものを整理したのが134ページ、
水深の浅い場所でも水際にヨシがある場所でみられるものを整理したのが135ページです。
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134ページをご覧ください。
堀川の水深の浅い場所として志賀橋の上流側、下流側の写真が整理してあります。
ここでは、コガモやオナガガモが、水面に浮遊する植物性のエサをついばんだり、川底の水草。藻類などを、水が引いた時に泥の中から拾ったり、水の中に頭を突っ込んでエサをとっている様子が観察されています。
この付近では、干潮で水位が下がると川底が露出するほど浅くて、太陽の光が川底まで届くので、水草や藻類がよく育っていて、それが彼らの格好のエサになっているようです。
また、おなかが膨れると、134ページ下の真ん中の写真のように、水際にできた干潟で休んでいる光景も頻繁に見かけます。
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志賀橋の下流では、護岸の平らな場所、いわゆる平場の上にコガモが仲良く並んでいる光景もよく目にします。
ちなみに右下の写真で見るとわかりますがコガモはとても大きなおなかをしていて、おそらくこの真ん丸な大きなおなかが浮袋のような役割を果たしているように思われます。
ただ、水の中で泳ぐときは、この真ん丸なおなかはほとんど水の中に隠れてしまうので、コガモはとても体が小さくスマートな鳥に見えるのも面白いところです。
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135ページをご覧ください。
水深が浅い場所で、かつ水際にヨシが生えている場所には、ヨシガモやオカヨシガモが見られます。
この場所ではコガモや、潜水して餌をとるホシハジロやキンクロハジロもよく見られます。
ヨシガモ、オカヨシガモは、このヨシのある場所以外ではほとんど観察されていません。(参考)堀川で出会うオカヨシガモは、ヨシガモと比較すると多様な環境に順応できているようです。
コガモを含めた水面採餌のカモたちは、水面に浮遊する植物性のエサをとっています。またよくみるのが、ごみキャッチャーから上げ潮時に逆流してきた枯草の塊の中に頭を突っ込んでエサをとっている様子です。人間から見ると、「ごみのかたまり」なのですが、カモにとってはエサの宝庫のようです。
また干潮で水深が下がると、志賀橋付近と同じように、川底に育った水草や藻類も首を突っ込んで食べている様子が観察されています。
そして右下の写真のように、安全で風が避けられる平場で休息している光景もよく観察されます。
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一方、水深の深い場所を整理したのが、136ページと138ページです。
136ページでは、水際の護岸に付着した藻の類をハシビロガモやヒドリガモ、コガモがついばんでいる様子の写真を掲載しています。
場所は新堀川の上流部、鶉橋から堀留水処理センターの方を見ている写真です。
下の欄の左側と真ん中の写真ではコンクリート護岸に付着した藻類を、ハシビロガモとヒドリガモが食べています。ハシビロガモとヒドリガモは新堀川ではよく観察されていますが、堀川ではあまり観察された記録がありません。新堀川を好んでやってきている鳥といってもよいと思います。
写真右上は、ヒドリガモとコガモ、そして水面採餌の鳥ではありませんが、ホシハジロが干潮で水面から露出した平場で休んでいます。
この場所は周りに高い護岸があり、外敵に襲われにくく安全で、かつ風が避けられる場所になっています。
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138ページをご覧ください。
この写真も新堀川上流の鶉橋から堀留水処理センターの方を見た写真です。
水面には川底から浮上した黒い川底の泥が浮いています。
この付近では水深が深いために川底まで太陽の光が十分に届いていませんが、
川底から黒い泥が浮き上がっているのはよく見る光景で、水も貧酸素を示す
白っぽい色をしており、私たちが定点観測をしたら、まず印象は「悪い」と
評価すると思います。
しかし、こんな場所でもハシビロガモやコガモは、水面に浮上した
川底の泥の中から何かを探してエサにしています。
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137ページをご覧ください。
これは、左の上は、新堀川の堀留水処理センターの放流口付近、右上は、熱田水処理センターの放流口付近の写真です。
この場所も下の写真で見られるように、コガモ、ハシビロガモ、オナガガモ、オカヨシガモといった水鳥(冬鳥)がよく見られる場所です。
水処理センターの放流口付近で、浮遊しているものを餌として食べているようです。
水処理センターの放流水そのものの中にエサがあるというよりは、放流された水の周りに鳥が好むひょっとしたらふわふわしたようなものがあって、それを鳥が好むのかもしれません。
また水処理センターの放流口付近の平場では、やはり鳥が休んでいる姿が見られます。
堀留水処理センターに勤務して毎日観察されていたある職員の方は、ひょっとしたら水処理センターから出る放流水が鳥にとっては、あたたかい座布団のような状態となって居心地がよいのかもしれないと思った、というお話も聞きました。
それが正しいかどうかは、鳥に聞いてみないとわかりませんが、ひょっとしたらそういう要因もあるのかもしれません。
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次に、水に潜ってエサをとる、潜水採餌の鳥についてみてみます。
139ページをご覧ください。
上の段は水深が浅い場所、下の段は水深が深い場所です。
水深の浅い場所では、干潮で水位が下がった時に、ホシハジロ、キンクロハジロ、オオバンなどが川底の動植物をとってエサにしている様子が見られます。
休憩するときは、安全で風が避けられる「水面」で休息しているところが観察されています。
私自身も東田幡橋付近で、ホシハジロの群れが首を胴体に埋め込むようにすくめて、眠りこけている様子を何度もみています。
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一方、水深が深い場所では、水際の太陽の光がよく届く場所に付着した
藻類などを、ホシハジロ、キンクロハジロ、オオバンなどが食べています。
護岸の深い場所では、貝や甲殻類が護岸に付着し、それを食べている
ケースもあるようです。
護岸から離れた場所で、ホシハジロたちが申し合わせたように、
水の中にぴょこんぴょこんと次々に潜って水の中でエサをとっている
姿もよく見かけます。
水深が深い場所では、やはり安全で風が避けられる「水面で」
休息しているようです。
先ほど東田幡橋付近でホシハジロが眠りこけているというお話を
しましたが、この付近は北側に高い護岸があり、風よけになっていると同時に、
この高い護岸側からは外敵が襲ってくることはないため、鳥にとって
安心できる場所なのかもしれません。
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他方、堀川・新堀川で、あまり冬鳥が確認できない場所もあります。
141ページをご覧下さい。
堀川では、街の中心部、中橋から桜橋付近、納屋橋から錦橋付近、
山王橋から松重橋付近、尾頭橋付近には、あまり冬鳥が
観察されていません。
新堀川ではどうかというと神宮橋から牛巻橋、新開橋から日の出橋
付近で冬鳥があまり観察されていません。
これらの写真を見ると、ある特徴が見えてきます。 いずれの写真も、鳥たちが休息できるような安全で風が避けられる水面や平場がないことです。
一見、開放的で気持ちの良い空間に私たちには感じられたりするのですが、鳥にとっては、四方八方を警戒しなければいけない、風をよける場所もない、きわめて居心地の悪い場所であるのかもしれません。
本当に、鳥たちに直接聞いてみたいものですが、私たち堀川1000人調査隊が、長期間にわたって観察を続け、写真などの記録を積み重ねてきたことによって、こうした鳥の気持ちに少しでも近づいてきたのではないか、と思う次第です。
また、生物多様性が尊重され、生き物と共生する魅力ある都市、名古屋をこれから整備してゆく上においても、遠い大陸からやってくる冬鳥たちが、好んでこの街を選び、やってきてくれるために、私たちができることのヒントが得られるのではないかと思います。
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131ページに戻ってください。ホリゴンの上の吹き出しを読んでみます。
昼間に水鳥(冬鳥)を観察すると、多くが平場や水面で休息していることに気が付きます。実は、水鳥(冬鳥)の多くの種が夜行性だからです。
一般的に日が暮れると、餌場に移動・採餌をしているといわれています。
市民の調査では、水鳥(冬鳥)たちの夜間の様子を観察できていませんが、昼間にどこで休息をして、昼間に採餌をしている水鳥(冬鳥)たちの様子から、どのようなものを食べて冬を越しているのかが少しずつ分かってきました。
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130ページの右下の黄色い囲みを読みます。
(市民が気づいたこと)
市民の調査によって、都市河川で水鳥(冬鳥)たちが越冬できる水環境を維持、創出するためのヒントが見えてきたような気がします。
都市河川の水鳥(冬鳥)たちに配慮した水環境の維持・創出のためには
1. さらなる水質の改善をすると
透明度の改善によって、都市河川で水鳥たちが主にエサとしている川底と水際の水草や藻が増加する
2. 安全で風が避けられる、水際の平場と水面の維持・創出をして水鳥たちが休息する場所を確保することによって、「選ばれる都市」になれる。
以上で、「堀川・新堀川で冬を越す水鳥たちのなぞ」についての報告を終わります。
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次に生き物つながりで、納屋橋の空心菜を使った堀川浄化実験で見えてきた、猛暑と虫による被害の関係について少しご紹介します。
146ページをご覧ください。
この空心菜を使った堀川浄化実験は、水中から窒素やリンといった、水の汚れの元となる物質を植物の力で吸い上げて、堀川の浄化に役立たせるヒントが得られないかという観点から、2010年に名古屋堀川ライオンズクラブと、岐阜県立恵那農業高等学校の協働作業により、昨年16年目の実験をいたしました。
ところがここ数年、6月下旬に設置した空心菜が、5週間目頃からハダニの被害にあい、枯れてしまって秋に収穫できないということが続いています。146ページの右から2列目の写真がその様子です。147ページの右側の囲みの中央から下に、次のように書いてあります。
「ダニは作物の組織内を口で葉の中の汁を吸うので、小さな斑点が次々とできて、かすり状になる。
ハダニの密度が高まると茎や葉の伸長が悪く、株がすくんだようになる。作物によっては落葉したり葉が枯れたり株が枯れたりする」
まさにこうした現象がここ数年繰り返されるようになりました。
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ハダニの被害がここまでひどくなる、その原因がよくわからなかったのですが、昨年ふと猛暑と関係があるのではないか気がつき、過去4年間について、気象条件とハダニの状態について整理をしてみました。その結果が148ページに記載されています。
30. 2022年と2023年については、7月下旬にハダニの被害が確認されましたが、8月終わりから9月にかけて空心菜は被害を修復して、秋の終わりには収穫することができました。
この2年は7月から8月にかけて30度を超える猛暑になったものの、その後やや気温が下がって空心菜は被害を修復することができました。
31.しかし2024年は9月になっても30度を超える猛暑が続き、結局9月26日に枯れてしまいました。
2025年は猛暑の中、雨も少なく、空心菜は被害の進行と修復を繰り返しましたが、4本のうち2本は枯れてしまいました。
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148ページ右側のコメントをご覧ください。
これまでの実験と資料の整理で分かったこと
空心菜へのハダニの被害は、7月下旬から8月上旬にかけて顕在化してくるが、9月になっても30℃を超える日が連続すると、被害の修復ができず、枯れてしまうこともある。
私たちは様々な面で、気候変動のリスクにさらされていますが、本日冒頭でご紹介したボラとカワウ、そして名古屋城が真っ白になる現象においてもそうですが、堀川・新堀川の観察においても気象条件の整理、分析が大切であることを感じさせられます。
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さて次の話題に移ります。
前回までの調査隊会議で、堀川はやはり大潮の干潮の時が一番状態が悪いのではないか、という指摘がありました。
事務局では、データでそれを検証するために、2020年度から2024年度のデータを再度整理して、小潮、中潮、大潮の時の、皆さんが入力したデータを分析してみました。
使用したデータは、2020年度から2024年度の4年間に皆さんに入力していただいたデータのうち、当日および前日に雨の降っていないもの、つまり雨による影響の考えるデータはのぞいた13,157件です。
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この13,000件余りのデータひとつひとつに、観察した時間の水位のデータをくわえて分析し、それをまとめたものが113ページの表です。
また、満潮で水位が高い時と、干潮で水位が低い時を、水位別に高い方から低い方に4段階に分けて、整理したのが、113ページの表です。
35.これを見ると、確かに大潮の時、そして干潮の時に、堀川、新堀川の状態はよくないことがはっきりわかりました。
順に見ていきます。
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まず水位の高さから見ていきたいと思います。
113ページをご覧ください。
一番上の行は、堀川を下流、中流、上流と3つに分けてあります。
一番左が下流の大瀬子橋から松重橋、真ん中が松重橋から朝日橋、右が上流の朝日橋から猿投橋です。
次に一番左の列を縦に上から順番に見ていってください。
上から順に、水の汚れの印象、色の印象、その色のうちヘドロ系の黒っぽい色が出現した割合、白濁系の貧酸素を示す色が出現した割合、泡、におい、透視度、CODの順番に並んでいます。
そしてそれぞれの項目について東京湾の平均海面であるTPでもって水位を分類しました。
TPゼロは、海抜0mと考えていただいて結構です。
ここではTPが50cm以上の時、これを一番水位が高い時としました。次に少し下がって50cm~0cm、これを2番目に水位が高い時としました。TP
0〜 マイナス50cm これを低い方から2番目の水位としました。 TP
-50cm未満 これを一番水位が低い時としました。
皆さんが入力してくださった日々の定点観測の記録すべてに、その日、その時間の水位を調べてデータに付け加え、それでもって分類整理したのがこの表です。
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それを見ると堀川では中流の松重橋から朝日橋の区間に評価の低い赤い色が集中しているのが一目瞭然にわかります。
例えば一番上の項目「水の汚れの印象」の中流部、松重橋から朝日橋の列を見てください。
松重橋から朝日橋の間で、一番水位の低い時の数字20は、皆さんが入力したときの5段階評価の、きれい、ややきれい、とちらともいえない、の上から3つを入力した割合が20%しかなかったことを示していて、やや濃い赤で表示してあります。その上の3つの水位の時と比べると水位の低い時の印象が非常に悪いことが一目瞭然です。
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その下の色の欄を見てください。一番水位の高いときは上から3つの評価が47%であったのに対し、一番下の水位が低い時は26%しかないことがわかります。
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では、どんな色が多かったのか。
まず、ここでヘドロ系の色と、白濁系の色をイメージしていただくのにちょうどよい写真があります。
98ページをご覧ください。上の写真が、堀川・納屋橋付近で撮影した写真で、ヘドロを巻き上げて黒っぽい色をしています。これがヘドロ系の色のイメージです。
下の写真は、新堀川・記念橋付近の写真です。貧酸素を示す白濁系の色のイメージです。水中の溶存酸素が少なく硫化物を生成し、それがコロイド化した白濁水が滞留した状態です。
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もういちど113ページに戻ってください。さきほどみていただいた、色の印象の下、グレーで示したヘドロ系の割合を見ていただくと、水位の高い時も水位の低い時もヘドロ系の黒っぽい色が出現していることが多いことが分かります。
貧酸素の状態を示す白濁系の割合はヘドロ系と比べるとそれほど多くありません。
これは中流部もヘドロを巻き上げて黒っぽい色をしてはいるものの、貧酸素の状態はそれほどひどくはない、そしてにおいや泡も本当に少なくて、青色で表示されているとおり、それほど水質は悪くはないことを示していると考えられます。昨年夏に、2年続けてアユが、難所である中流部を通り抜けて上流まで到達できたこと、冬にはボラの大群が中流部を取りぬけて上流部まで遡上してきたこと無関係ではないと考えられる、ひとつの材料になるのではないかと考えます。
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下流部においては、松重橋から大瀬子橋で、水位が低い時に白濁系の色が出現する割合が大きくなっていますが、においはほとんどなく、川底からの泡もほとんどありません。
色の割合としては高い数字で出ていますが、そのひどさ、というか程度という視点から見ると、それほど問題視するほどのものではないのかとも考えられます。
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一方、新堀川を同じように下流部から上流部まで3つに分けて整理してみました。
半分から右の欄が新堀川です。
左側から堀川との合流点の下流部、そして一番右が上流部になります。
これをみると一番左の下流部、内田橋から立石橋では、白濁系の色が出現する割合が高くなっていてこれは、堀川下流部と同じ傾向があり、堀川と新堀川がお互いに影響しあっているということが想像できます。
また、下流部から上流部まで共通しているのは、堀川と違って白濁系の色の出現率が高く、ヘドロ系の色の出現率が非常に低くなっています。さらには、中流部と上流部は印象や、白濁系の色の出現率は同じような傾向があるように見えますが、川底からの泡と、臭いの割合が上流部で非常に悪くなっていることがよくわかります。特に上流部では、水位の高さ、つまり満潮干潮関係なく常に白濁系の色が見られ印象を悪くしている、特に上流部では、水位の低い時ににおいがひどく泡も多いという結果が示されています。
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新堀川に対してイメージしていたことが、皆さんの入力したデータを整理することによって、非常に明確に立証されたと言えるのですが、この表を見て改めてびっくりした次第です。
堀川や新堀川を語るとき、ちょっと川をみて印象を決めつけるのではなく、データできちっと裏付けて評価することの重要性を改めて感じた次第です。
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次に、大潮、中潮、小潮の潮回り別のデータの整理をご紹介します。
99ページをご覧ください。これが堀川のデータをまとめたものです。そして101ページをご覧ください。これが新堀川のデータをまとめたものです。
使用したデータは、先ほどと同じ、2020年度から2024年度に皆さんに入力していただいたデータのうち、当日および前日に雨の降っていないもの、つまり雨による影響の考えるデータはのぞいた13,157件です。
先ほどと同じように、この13,000件余りのデータに、大潮、中潮、小潮などのデータを付け加えて分析して整理をしました。
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まず99ページの堀川をご覧ください。
先ほどと同じように、左から下流、中流、上流と縦に区別してあります。
横軸は、上から「水の汚れの印象」「色」「泡」「におい」「透視度」「COD」
と並んでいます。
そして例えば水の汚れの印象の欄を見ていただくと、上から
小潮、中潮等、大潮の順に縦に並んでいます。
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まず中流部の、松重橋〜朝日橋の列をご覧ください。
下流、上流と比べて赤い色が目立つと思います。
それを詳しく見てゆくと、水の汚れの印象は、年間を通してみても
中潮、大潮の時に悪いことが分かりますが、特に3月〜8月の
春・夏のシーズンに印象が悪いことが分かります。
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色についてみてみると、春から夏はヘドロ系の色が大潮の時に
最も多く、中潮の時もちょっと悪い、しかし小潮の時は
あまり悪くないことが分かります。
それに対して同じ春から夏の白濁系の色は、潮回りに関係なく
ヘドロ系と比べて少なくなっています。
ただ、ヘドロ系の色は出現するものの、においの割合でみると、
春から夏にかけても小潮の時はほとんど臭わない、
中潮や大潮でも嫌なにおいを感じるのは50%程度で、
あまり大したことはないと思われます。
と言いますのも、私たちはかつての堀川が、納屋橋付近でも、
かなりにおいを感じることが多かったことを知っているからかも
しれません。
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もうひとつ特徴的なのが下流部の大瀬子橋から松重橋にかけての
赤いところです。
白濁系の色が多くみられるのですが、大潮の時よりも、
むしろ中潮や小潮の時の方が白濁系の色が多く顕れている
結果になっています。
これについては、先ほどと同じように新堀川との合流部に近い、
ということが関係しているかもしれませんが、まだよくわかりません。
しかし、においについてみれば、下流部もほとんどにおいは感じない
結果になっていて、白濁の程度はあまり強くないのかもしれません。
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ついでに、101ページの新堀川の表をご覧ください。
一番左が堀川との合流点に近い、下流部の内田橋から立石橋です。
まずこの下流部を見ると春から夏は、中潮、大潮の時に白濁の割合が
多くなっています。
秋から冬は、大潮の時でも白濁が少なく水色になっています。
堀川の下流部と比べると、新堀川の下流部は、秋から冬は
ほとんどにおいが気にならないのに、春から夏の大潮の時は
いやなにおいを感じる割合が56%になっていて、堀川の下流部とは
少し違っているようです。
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新堀川の中流部、上流部を見てみると、特に春・夏は大潮、小潮に
関係なく、白濁の出現が多く、また上流部はにおいを感じることが
多い結果になっています。
それでも、秋〜冬は夏場よりは多少いいようです。
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また新堀川では、堀川と違って、ヘドロ系の色が現れる割合は
とても少なくなっています。
これは大潮でも新堀川は堀川と比べて水深が深く、川底のヘドロを
巻き上げにくい環境であることに加え、名古屋市によって
合流部と上流部付近のヘドロをとっていただいたことも
関係しているかもしれません、
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以上の結果をまとめて事務局がコメントしたものが、
99ページと101ページの黄色い枠に書いてあります。
99ページをご覧ください。堀川についてのまとめを読んでみます。
堀川では中流部の松重橋から朝日橋の区間で、特に3月〜8月の
大潮・中潮の時に、川底のヘドロが攪拌されて印象が悪化している。
その理由として、9月〜2月(秋・冬)よりも、3月〜8月(春・夏)は、
気温が高く、降水量が多いため、水域に有機物が多く流入して、
川底でヘドロが生成されやすい環境になりやすく、
特に大潮・中潮等の時に川底のヘドロが攪拌されやすくなるため
と考えています。
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111ページをご覧ください。新堀川のまとめを読んでみます。
新堀川上流部の宇津木橋〜舞鶴橋間では、特に
3月〜8月(春・夏)の大潮の時に、底泥中の硫化物が
水域に解放されて印象が悪化している。
その理由として、9〜2月(秋・冬)よりも3月〜8月(春・夏)は、
気温が高く降水量が多いため、水域に有機物が多く流入して、
底泥中で硫化物が生成されやすい環境になりやすく、
特に大潮時に水域に解放されやすくなるためと考えています。
以上で潮回りや水位の高さと、水位の高さによる違いの項目を終わります。
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さて最後に、122ページからは、私たちが要望して実施して
いただいた護岸の除草について掲載していますが、
以前もこの会議でご紹介してものを、引き続きフォローしています。
時間の関係もあって本日は説明を割愛させていただきますが、
私たちの提案を名古屋市が受け止めていただいて除草を実施し、
その結果を私たちが観察によって検証することで、新たな問題点や
課題が見えてくる、そしてその結果を次の名古屋市の施策に
生かしていただく、という市民と行政のキャッチボールが
具体的な形で生かされている好事例だと思います。
今日のところはご興味があれば目を通しておいていただければと思います。
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以上で第38ステージの皆さんからの報告に基づく
市民調査結果のご報告を終わります。
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