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みなさんが第23ステージ(平成30年4月〜6月)に
調査活動をしていただいた結果の分析をご報告させて
いただきます。
最初に連絡事項です。
次回の調査隊会議開催日について
平成31年2月23日(土)都市センター !
13時30分〜16時00分
ぜひ予定をしておいてください。
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次に、次回の堀川一斉調査についてのお願いです。
日程は次の通りです。
平成30年11月17〜18日 23〜24日
あとでご説明するように、堀川の浄化には船の定期運航が効果が
あるのではないか、という気づきが私たちにはあります。
たまたまこの期間に名古屋市の水上交通の試験運行があります。
これにあわせて、たとえば30秒の動画をたくさん集めるなど
して水上交通が堀川浄化に役立つかもしれないという仮説を
立証する資料がみんなで集められないか、
そういうことに挑戦したいと思っています。
基本的には普段の定点観測を実施していただければいいのですが、
もし可能であれば30秒くらいの動画、写真を事務局までたくさん
送っていただけるとありがたいと思います。 |
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さて、堀川1000人調査隊の長期調査活動がこの23ステージで
丸々11年半になりました。
これまでの定点観測のデータは5200件を超え、写真データも
無数にあって、今回も色々なことが説明できるようになりました。
その結果として、わたしたち市民から行政に対して、いろいろな要望や
提言を行い、それが実現することで堀川の水質もよくなってきました。
一人一人の力は小さくても、みんなの力が合わさると大きな成果に
つながっているという点で、皆さんにぜひ誇りに思っていただきたいと
思います。
それではその成果についてご説明させていただきます。
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本日の皆さんへの報告事項のポイントは次の4つです。
1)1つ目のポイントです。
今回の第23ステージの特徴は、数日の周期で天候が変化し、
記録的に高温で、雨が多かったことです。
これまでの私たちの常識では、高温、多雨というのは堀川にとって
非常に過酷な条件でした。
しかし、今回23ステージでは、堀川では雨が降った時でも
雨の降らないときでも、それほど水質などの水環境がかわらなくなった、
という驚くべき変化を見つけました。
高温多雨という悪条件にもかかわらず、堀川の全般的な状況は
本当に改善しています。
2)2つ目のポイントです。
高温多雨という悪条件でも堀川の水質は全般的には改善していると
今いいましたが、都心の中流部だけは水環境が悪化していました。
朝日橋から松重橋の間は浮遊ごみが目立ち、汚いという印象をもつ人が
増えました。
また気温が高かったために、朝日橋〜松重橋の中流部では
あわやにおいの発生が目立ちました。
しかしこの中流部の区間でさえも、透視度は改善していました。
また中流部をのぞいた区間では汚れの印象、透視度、COD、
におい、あわの状況が改善していました。
これほどの悪条件にもかかわらず、中流部以外では
堀川の状態がよくなっている、というのは長い間継続的に
堀川を調査している私たちにとって驚くべき変化です。
生き物の点から見ても、今年の春〜夏の堀川では、ほとんど
毎年みられる魚の大量死がありませんでした。
それどころか、ボラの幼魚の大群ががあちこちで確認され
それを狙ってカワウが飛来するなど生き物の様子からみても
堀川の状況は本当に改善しています。
名古屋市の浄化のための様々な施策が総合的に効いてきている、
といってよいのではないかと思います。
3)3つ目のポイントです。
陸上のごみについてですが、納屋橋付近の水辺に落ちているごみが
目立って増えています。
ご存じのように納屋橋付近は再開発工事が終わり、人のにぎわいが
確実に増えているわけですが、たとえば夢広場のあたりには、
いつも同じ場所に同じ銘柄のタバコや空き缶が落ちていて、
本当に限られた人の行為ではないかと思われるごみが目立つように
なっています。
これに対しては、何らかの対策をしていかないと、ごみを捨てる人と
ごみを拾う人のいたちごっこが終わらない、と思われます。
4)4つ目のポイントは新堀川についてです。
これまでデータ数の蓄積が少なく、なかなか新堀川の分析が
進んでいなかったのですが、この23ステージで、ついに累積データが
400件を超え、今回はじめて月別の分析を試みることができました。
また大潮とか小塩とか言った潮廻りと、新堀川に出現する色について
何らかの関連性があるということまでみえてくるようになりました。
また、春の一斉調査の結果の検討をしていたときに事務局で出た話
ですが、今日の資料には記載していませんが、確かに新堀川は
堀川と比べてにおいもあり、白濁も目立って印象がよくないのですが、
水面を浮遊するごみは堀川より少ないのでは、という指摘がありました。
これは、新堀川では、雨水吐に設置してあるごみの除去装置の設置率が
100%であることが効果を発揮しているのかもしれません。
ちなみに平成29年度末時点では、新堀川100%に対し、堀川は
89%だそうです。
以上4点が今回の報告のポイントです。
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ではまず、11ページをご覧ください。
今回の23ステージの気象の特徴が書いてあります。
最初に申し上げた今回の報告のポイントの第1番目の話になります。
一口で言うと今年4月〜6月にかけては、赤い字で書いてあります通り、
数日の周期で天候が変化したこと。そして記録的な高温、多雨であった
ことに大きな特徴がありました。
11ページ左下のグラフをみていただくと、今回の23ステージの平均気温が
過去最高であったことがわかります。
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14ページのグラフをご覧ください。
上のグラフが昨年21ステージ、下のグラフが今年の23ステージです。
青い棒グラフが降雨量を示しています。
昨年と比べて雨の回数が多く、大雨が多かったことがわかります。
これまで堀川は合流式下水道の弱点で、大雨が降ると生活排水が
流入し、また気温が高いとあわやにおいが出やすく、堀川にとって
過酷な条件となってきました。
しかしながら、ここが第1番目のポイントなのですが、
これほど過酷な条件にもかかわらず名古屋市の合流式下水道
改善のための堀川右岸滞水池の効果で、堀川全般としては
水質が悪化しなかった、いやもっというと都心の中流部以外では
水質が改善していた、という驚くべき結果が今回出てきたのです。
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16ページ右下の地図をご覧ください。
ピンクのDの領域が、堀川右岸滞水池が水を集める区域です。
中土戸橋より上流の右岸にある雨水吐から汚い水が流れ出す
頻度を下げる、つまり堀川に流入する汚濁物質を少なくする
効果があります。
この効果は、前回の調査隊会議でもお話しましたが、
平成22年の滞水池の完成から3年経った、平成26年度くらい
から効果があらわれてきました。
しかしこの23ステージの悪条件の下でも堀川の水質が悪化しない、
というほどの効果が確認されたのは今回がはじめてです。
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ちょっと飛びますが、38ページをご覧ください。
このグラフは、皆さんが感じた堀川の水の汚れの印象の内、
きれいを5として、どちらでもないを3とすると3、4、5の比較的良い印象
をもったパーセンテージを年度ごとにグラフにしたものです。
ピンクのグラフは雨の降っていないとき、ブルーのグラフは雨の降った
ときです。
これをみると、ピンクのグラフは、木曽川導水の終了した平成22年頃
から右肩上がりによくなっています。
一方でブルーの雨の降った時のグラフは、平成25年度までは停滞
していますが、26年度以降はぐっと改善してきて、特に今年のグラフで
見ると、雨が降っていても降っていなくても、印象はほとんど変わらない、
という結果になっています。
グラフのピンクの傾向をあらわす点線と、ブルーの点線が右に行くほど
くっついてきている、ということは、雨が降っても降らなくても堀川の印象は
それほどかわらない、雨が降っても以前のようには汚く感じなくなった
という読み方ができるわけです。
これが堀川右岸滞水池の大きな効果だと考えるわけです。
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さらにこれを透視度でみたものが48ページのグラフです。
48ページをご覧ください。
さっきと同様にピンクのグラフが雨の降っていないとき、
ブルーのグラフが雨の降った時です。 |
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ちょっと戻って43ページをご覧ください。
以前にもお話しましたが、43ページのグラフは、皆さんが堀川の印象を
3〜5で評価したときの透視度は概ね70p以上だった、ということを
説明しています。
つまり堀川に関して市民の透視度の許容度は70p以上、ということが
言える、ということです。
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さっきの48ページに戻ってください。
ピンクのグラフ、つまり雨の降っていないときの堀川の透視度は、
木曽川からの導水が停止したあとも、比較的70pに近い位置に
いることがわかります。
しかし、雨の降った時の青いグラフで見ると、平成23年、24年ころは
45pそこそこであった透視度が、平成25年度くらいから50p以上になり、
今年はなんと71pにもなって、雨の降っていないときよりもむしろ
雨が降った時のほうが透明感が高くなった、という数字がでています。
ここでもピンクの傾向線と、ブルーの傾向線がくっついてきているのが
わかります。 |
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CODを見てみましょう。
54ページをご覧ください。
ここでもピンクのグラフは雨の降っていないとき、ブルーは雨の降って
いるときです。
雨の降っていないピンクは、CODはおおむね横ばいです。
しかし雨の降った時のブルーはむしろCODが改善しているように
みえます。
以前は、堀川では雨が降ると降り始めの汚れた雨水や生活排水が
堀川に流れ込むため、堀川は汚くなってCODの値も悪くなる、
というのが私たちの常識でした。
しかし最近では、降り始めの汚い水が地下にためられ、
堀川に流出する水はむしろきれいな雨水となって、堀川を希釈する
効果が発揮されているのではないか、とも考えられるわけです。
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においやあわについてはどうかを調べてみました。
61ページをご覧ください。
堀川では、川底からのあわがでているときは、においが悪化する、
という相関関係があることが、これまでの調査データからわかって
います。 |
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そこで、60ページをご覧ください。
最近ではあわやにおいをみたり感じたりすること自体が減っている
のですが、今回はあわについてグラフ化してみると雨のときも
川底からあわが発生することが減ってきていることがわかります。
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今回は臭いについてグラフ化していませんが、あわとにおいは
相関関係にありますので、あわが少ないということはにおいが
少なくなってきていると言ってもよいと思います。
以上のように、堀川右岸滞水池の効果で、汚濁物質の堀川への
流入が平成22年5月以降減ってきたことによって、これは推測ですが、
汚濁物質の流入と堀川の持つ自然の浄化能力のバランスが徐々に
改善され、平成26年頃からあきらかに堀川の水質の状況が改善されて
いたのですが、今回の23ステージでは、記録的な高温、多雨の過酷な
条件下でさえも、堀川では雨が降っても水質が悪化しなかった、という
驚くべき効果が今年はじめて確認できた、ということです。 |
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もちろんさきほど15ページでみたように、名古屋市は、堀川右岸滞水池
以外にも様々な堀川浄化策を実施していて、その効果は総合的に発揮
されているわけですが、この雨に対する改善効果という点では理論的にも、
効果の出方ののタイミングからみても、この滞水池が最も効果を発揮して
いると事務局では考えています。
そこで、16ページをご覧ください。
もうまもなく、堀川左岸にも滞水池が完成します。
この地図で言うEの地域、すなわち城北橋より上流の左岸に降った
大量の雨が、今は堀川に汚濁物質を流入させているわけですが、
この左岸滞水池の完成後は汚濁物質の流入が一段と少なくなる
ことが期待できます。
左岸滞水池完成後の堀川の水質改善を、ぜひ私たちの調査で
確認していければと思います。
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ついでに17ページをご覧ください。
名古屋市は堀川上流部で瀬渕を作ってきたというのは先ほどの
名古屋市の報告にもありましたが、今年度は市民も協力して
瀬渕をつくりました。
平成30年春には、名古屋城北ライオンズクラブが新堀橋上流に
瀬渕を作って寄付してくださいました。
左下の写真は事務局が今年8月にその付近で撮影した写真ですが、
オイカワが石についた藻を食べている様子が写真で記録されました。
瀬渕を作ることが生き物のゆりかごになってゆくのがよくわかります。
このあたりにお出かけのときは、ぜひ見ていただきたいと思います。
18ページをご覧ください。
昨年12月から今年1月に実施された桜橋〜幅下橋の間の覆砂の
工事によって、覆砂された場所ではボラの幼魚の群れが観察される
ようになりました。
この区間が今までの堀川とは全く違う様相を見せ始めています。
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さて、19ページから32ページまでは、今日の報告の骨子がコラムにして
まとめてあります。
今日、私のお話を聞き落とされた方も、あとでこの部分を読み返して
いただければ、だいたいおわかりになるように書かれていますので、
印をつけておいていただければと思います。
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さて次に2つ目の報告をしたいと思います。
それは都心を流れる中流部の問題です。
ほどから申し上げているように、第23ステージの4月〜6月は、
高温、多雨で堀川にとっては過酷な条件でした。
それによって、都心部にあたる朝日橋〜松重橋あたりでは、
昨年よりも確かに水質が悪化してしまいました。
しかし一方、その都心部以外の流域では、このような過酷な
気象条件にもかかわらず、堀川の水質は改善していました。
堀川は、中流部にネックがあることが改めてクローズアップされ、
堀川の印象をよくするためには今後、この中流部に集中的に対策を
行うことが、必要ではないか、というお話になります。
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まず水の汚れの印象についてみていきます。
37ページをご覧ください。
これは4月〜6月の水の汚れの印象のうち、評価3〜5の比較的良い印象
の割合を時系列でみたものです。
左上が上流部の猿投橋〜城北橋 その下が城北橋〜朝日橋、
右上が朝日橋〜松重橋の都心の中流部、そして右下が
松重橋〜大瀬子橋の中下流部です
右上の朝日橋〜松重橋の都心中流部で、今年数値が5%になっており、
がくっと印象が悪くなっているのが、はっきりとわかります。
その年ごとの気象条件によって影響を受ける、というのは避けがたい
ことなので、これは来年以降も長い目で見て傾向をとらえてゆく必要が
ありますが、注目すべきは次の2点だと思います。
ひとつは、これほど中流部で印象が悪化したのにもかかわらず、
今年は堀川で魚が大量に死んで浮く、という事件がなかったことです。
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87ページをご覧ください。
上のグラフは昨年21ステージ、下のグラフは今年の23ステージです。
ピンクの折れ線グラフは気温、ブルーの棒グラフは降水量、黄色い〇は
月齢で、下が新月、真ん中に向かって満月になり、そして上に行くと
また新月になります。
新月と満月のときが大潮です。
オレンジ色の縦の点線が魚が大量死したときです。
上のグラフでみると、昨年は5月1日の大潮と雨が重なったときに、
そして7月26日の中潮と雨が重なった時に堀川で魚が浮いています。
しかし、下のグラフで見ると今年は雨が多く気温も高かったにも
かかわらず、堀川で魚は死んでいません。
7月30日に天白川で魚は死んでいますが。
88ページは堀川での過去の死魚の記録を整理したものです。
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89ページ、90ページは大潮のときと小潮のときに分けて、
堀川で魚が死ぬメカニズムの仮説を説明したものですので
あとでご興味のある方はご覧ください。
もういちど88ページをご覧ください。
これまで堀川では毎年のように大潮でまとまった雨が降ったり、
あるいは小潮と雨が重なったりしたときに中流部付近で死魚の発生
していましたが、今年はありませんでした。
あとで申し上げますが、この大きな要因のひとつに、今年1月までに
実施した中流部約1kmの区間での覆砂の効果があったのではないかと
感じています。
もうひとつは、この都心の中流部以外の場所では、過酷な環境にも
かかわらず、第23ステージは、はっきりと改善傾向がみられた、
ということです。
先ほどみていただいた37ページをもういちどご覧ください。
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透視度についてみてみましょう。
47ページをご覧ください。
透視度については、左上、左下の朝日橋より上流の流域だけでなく、
都心部の朝日橋〜松重橋間も、高温、多雨であったにもかかわらず
改善しています。
一方で、松重橋より下流では悪化している、という違った結果も
得られました。
ここで透視度についてもういちど考え直してみたいと思います。
私たち堀川1000人調査隊が透視度やCODをはかっているのは、
表層の水をバケツでくみ上げたものです。
一方で堀川の汚れの印象は、透視度やCOD以外の、色やあわや、
においといったほかの評価でも悪化します。
また、見た目の透明感と、バケツで汲んだ水の透視度は
必ずしも一致しません。
堀川の表層水の透視度が高くきれいであっても、堀川の下の方にいる、
塩分を含んだ水が、硫化物で白濁していたり、ヘドロで黒く濁っていたり
すると、橋の上や護岸から水面を見たとき透明感は感じられず、表層水を
はかった透視度と透明感が一致しないということがおきてきます。
従って、今回の23ステージについては、都心の中流部に
ついては、表層水の透視度は高かったが、色や透明感、
あわやにおい、といった多角的に見た水の汚れの印象は
よくなかった、と言えるのではないかと思います。
じゃあ、雨が降ったにもかかわらず、中流部の表層水の
透視度が高かったのはなぜか?
その答えはまだこれから解明していく必要があります。
ただ中流部の表層水の透視度が高かったのは、、その上流に
あたる流域で透視度が改善しているからじゃないか。
上流部の透視度は、庄内川の水質の影響を受けやすいから、
ひょっとしたら庄内川の透視度が高かったのかも。
あるいは堀川右岸滞水池の改善効果で雨による希釈効果が
相当きいているのではないか?
色々なことが考えられますが、これは今後の皆さんの調査結果で
次第に明らかになってゆくのではないかと思っています。
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一方、松重橋〜大瀬子橋の透視度では、中流部と反対の事が
起きています。
37ページの右下のグラフを見てください。
23ステージの松重から下流の大瀬子橋までは、水の汚れの印象は
改善しています。
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また、53ページをご覧ください。
CODの値も右下のグラフでは改善がみられます。
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59ページのあわについても改善しています。 |
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65ページのにおいについても改善しています。
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しかし47ページの右下のグラフを見ると、松重橋より下流だけは
表層の水の透視度が、やや悪化しています。
どうしてこうした現象が生ずるのか。
この理由の解明も今後の課題ですが、今の段階では私の個人的な
推測に過ぎませんがひとつ考えられるのは、堀川の右岸滞水池は、
朝日橋よりも上流部で表層水の透視度を改善する効果があり
その効果は、中流部までは及ぶけれども、松重橋より下流には
その効果は及ばないのかもしれないな、という仮説です。
なぜ私がそう思うかというと、以前、木曽川からの導水が行われていた時に、
おおむね表層水の改善に効果があったのはせいぜい松重橋までで、
それより下流には効果は確認できなかった、という結果が思い起こされる
からです。
堀川左岸滞水池が完成すると、ざくっといって、右岸と合わせて
その効果は倍になるわけですから、ひょっとすると左岸滞水池完成後は
違った結果になるかもしれないと思います。
そういう意味でも完成は楽しみだと思います。
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さて、朝日橋から松重橋の、大事な都心の中流部の印象の悪化について
ですが、これはあわと、においでみるとくっきりとその悪化の状況がわかります。
59ページの右上のオレンジ色のグラフをご覧ください。
明らかに川底からのあわの発生頻度は増えています。
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においについてみてみます。
65ページをご覧ください。
オレンジ色の中流部では、38%、つまり10回に4回の割合で
中流部ではにおいを感じています。
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先ほどもご紹介した61ページのグラフをご覧ください。川底からのあわが
発生しているときはにおいも感じられるという相関関係がありますが、
原因は同じところにあると思います。
つまり今年の4月〜6月の記録的な暑さと記録的な雨の多さ、
その気象条件の影響を強く受けたのではないかと事務局では
考えています。
しかしそれにもかかわらず、今年の堀川では、死魚の発生が
みられませんでした。
これはどうしてか?
それについては、中流部、桜橋から幅下橋まで今年1月までに実施した
ヘドロの上に砂をかぶせる、いわゆる覆砂の効果が発揮されたのでは
ないかと事務局では仮説をたてています。
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86ページの真ん中下の写真をご覧ください。
この冬に覆砂が完了した幅下橋付近でボラやハゼの幼魚が群れている
写真が記録されていますが、ヘドロが露出していた昨年まででは、
この場所に魚が群れるという光景は見られませんでした。
少なくとも覆砂をしたことによって、魚が群れることのできる水環境が
実現したことは間違いないと思います。
大潮とまとまった雨が重なった時には、特にこの中流域では水深が
浅いですから、引き潮で水位が下がった時には、昨年までだと一気に
その水域が酸欠状態になり、逃げ遅れた魚が死んでしまったと考えられ
ます。
しかし、今年ヘドロに砂がかぶされ、ヘドロの巻き上げも少なくなった
この水域では、水中の溶存酸素の低下が昨年と比べて改善したのでは
ないかと事務局では考えています。
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84ページの写真をご覧ください。
これは名古屋市の河川計画課調査隊が撮影した写真ですが、
7月17日に体長20〜30cmのウナギがなんと上流の猿投橋付近で
3尾も捕獲されました。
これまで納屋橋あたりでウナギの幼魚を見かけることはありましたが、
五条橋や幅下橋あたりのヘドロが干潮時に露出するような浅い場所を
くぐりぬけて、上流の猿投橋まで、こんな大きなうなぎがのぼってきて
捕獲されるというようなことは一度もありませんでした。
シラスウナギが堀川で育って大きくなったという可能性もあります。
ひょっとしたら、ウナギはこれまでも捕獲されなかっただけで
猿投橋まできていたのかもしれませんが、83ページの写真で
見られるように、ボラやハゼの幼魚、モクズガニなど、これまで、
でっかいコイ以外はあまりみかけなかった生き物が、猿投橋まで
上がってきているのが確認できたというのは23ステージの大きな
成果ではないかと思います。
中流部の覆砂が直接その効果を発揮しているのかどうかは、
まだ推測や仮説の段階ですが、大きな要因の一つである
可能性は高いと事務局では考えています。
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とにかく最近の堀川は、猿投橋より下流のあちこちで、中土戸橋でも
納屋橋でも、白鳥付近でもいたるところで大量のボラやハゼの幼魚が
みられました。
それを狙ってカワウが集まってくる様子も85ページの写真で記録
されています。
何か最近の堀川は、生き物の様子が一気にかわった!という印象が
あります。
それが今の段階では、合流式下水道の改善の成果なのか、
覆砂の効果なのか、はっきりと断言することはまだできませんが、
いろんな施策が総合的に効果を発揮して堀川の水環境が急速に
改善していることは間違いないことだと思います。
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さて、このように中流部が堀川のネックだということも浮き彫りに
なってきました。
中流部のネックは、やはり堆積したヘドロにあると事務局では
考えています。
その証拠に、気温が高くなり、雨が多くなるという悪条件が重なると、
堆積したヘドロに問題のある中流部では他の水域と違って、においや
あわが発生し、水質が悪化しています。
もうひとつ、ごみという観点からも中流部には問題点が浮き彫りに
なってきています。
これが本日の3つ目のポイントになります。
77ページをご覧ください。
これは水面を浮遊するごみの確認個数をグラフにしたものです。
傾向としては徐々に減ってきていますが、最近少しずつ増加してきている
のがわかります。
78ページの下の写真とコメントをご覧ください。
23ステージは汚れたごみをよくみかけました。
数日の周期で降った雨による増水で、水際にあったごみが流出し、
移動し、滞留するということを繰り返しているため、水に落下してから
相当時間がたったと思われる汚れたごみが左側の写真です。
朝日橋から松重橋そして大瀬子橋の中下流ではこうした汚れた
浮遊ごみが23ステージでは多く見かけられました。
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また少し戻って75ページをご覧ください。
陸上に落ちていたごみの確認頻度をあらわしたグラフです。
一番左のグラフが全体の合計を現したものです。
統計を取り始めた第2ステージに比べると第23ステージは約半分まで
減っています。
これは調査隊応援隊の皆さんをはじめとする堀川を愛する市民の輪が
広がり、清掃活動をする団体や会社が増加し、市民の意識に変化が
あらわれていることを実感できる大きな成果だと思います。
しかし一方で残念なことも起き始めています。
76ページ右の写真をご覧ください。
この写真は納屋橋の船着場の南にできた夢広場付近の写真ですが、
最近納屋橋付近の水辺に落ちているごみが増えています。
このあたりの再開発が完了し、人の流れが変わったのかもしれませんが、
この周辺に落ちているタバコの吸い殻や空き缶は、同じ銘柄が多く、
ごく限られた人が、ごく限られた場所で、繰り返し同じごみを捨てて
いるのではないか、と思われる現象が起きています。
掃除をした後、すぐにまたごみが散らかっている!
ごみを拾う人と、ごみを捨てる人のいたちごっこがいつまで続くのでしょうか。
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以上中流部で浮き彫りになった問題点、すなわち、ヘドロ、浮遊ごみ、
陸上のごみのご説明をさせていただきました。
それでは、中流部がよくなれば、堀川の印象はもっともっとよくなると
思うがゆえに、事務局では次のような提案をしたいと思います。
27ページをご覧ください。
まずは、名古屋市にお願いしたいことを提案させていただきます。
赤い文字で書いた4つの提案です。
1つ目は、水辺エリアでのポイ捨て禁止をもっとアピールしてほしい、
ということです。
確か名古屋市には美化地域重点指定地区とかの制度があって、
ポイ捨て禁止地区に指定されたところでは、、罰金をとられますよ、
という看板をみたことがあるように思うのですが、この納屋橋エリアの
水辺もそういう指定にするとか、あるいはみんなの水辺をきれいに
保ちましょう、とかいうアピール看板をとりつけられないものでしょうか。
2つ目は、水面に浮いているごみについて、特に中流部で行ったり
来たりしているごみをより効果的に取り除くために、研究・検討を
していただけないでしょうか。
もちろん私たちの情報も役立てていただけるようにこれからも情報を整理し、
提案していきたいと思います。
3つ目に、すでに実施していただいているヘドロの除去の継続実施です。
前回の会議で、国の助成金を受けてゲリラ豪雨対策として護岸を整備
しながら河床の掘削をおこなうことで同時にヘドロも除去する、という
ご説明がありましたが、中流部のヘドロ対策をぜひとも早く進めて
いただければと思います。
そして4つ目に、かねてから私たちは堀川に船が定期的に運航すれば、
堀川がきれいになるのではないか、と考えてきました。
今回も11月に、名古屋市の定期運行実験にあわせて一斉調査を実施する
予定ですが、船が走ると、スクリューで水が攪拌されて酸素が供給され、
それだけでも確実に溶存酸素が増加しヘドロが少なくなる要因になるのでは
ないかと思われます。
特に水深の浅い中流域では、船が走る攪拌の効果は大きいのでは
ないかと思います。
船の運航自体は、今日おいでの緑政土木局や、上下水道局、
環境局さんの管轄ではないかもしれませんが、オール名古屋で
みれば、もし船の運航が堀川浄化に効果があるのであれば、
仮に定期運航そのものは赤字であっても、堀川を浄化するという
メリットもあるのであれば、ある意味それは採算に合う事業、
という考え方も可能かと思います。
そういう意味でも、船の定期運航が堀川のヘドロ削減、DO改善など、
水質改善役立つのではないかという研究、検討を、河川管理者の
立場から実施していただけないかと思い提案させていただきたいと
思います
以上、ポイ捨て禁止のアピール、浮遊ごみ除去、ヘドロ除去、
定期船運航の研究についてお願いをしたいと思いますし、
ここにご参加の皆さんのご意見もあとでお聞きしたいと思います
のでどうぞよろしくお願いします。
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一方で私たち市民も引き続き啓発活動を実施していく必要があると
考えています。
雨の時にできるだけ家庭から出る水の汚れを減らすこと、
陸上を清掃すれば川に落ちるごみも少なくなること、などは
みんなで周りに声をかけて一人でも多くの人にそういう事実を
知ってもらうことがこれまでも大きな力になってきました。
これをぜひ継続していきたいと思い提案する次第です。
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それでは、最後に春の小潮の一斉調査の結果に絡めて
新堀川のことや堀川と新堀川の比較について報告させて
いただきます。
これが本日の4つ目のポイントです。
先ほどもご紹介しましたように、新堀川についての調査報告も
累計で400件を超え、今回も初めて月別の分析が可能になるなど、
少しずついろんなことがわかってきました。
また先ほどの名古屋市の報告でもありましたように、1年前の
この会議で私たちが要望した新堀川上流部のヘドロを早く除去して
ください、というのが実現して、今、新堀川のヘドロの除去が
進められています。
今後、この上流部のヘドロの除去が堀川の水質や印象に
どのような変化をもたらすか、引き続き皆さんの調査報告で
検証していきたいと思いますのでどうぞよろしくお願いします。
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さて、91ページをご覧ください。
これは新堀川の水の汚れの印象をあらわしたものですが、
左側の内田橋から右に向かって上流になっていきます。
紫色が皆さんがきたない、といって1の評価をした割合です。
向田橋から右の最上流部舞鶴橋にかけて汚いという1の評価が多い
ことがわかります。
これが、先ほどのヘドロ除去事業の事前データになっています。
今後上流部のヘドロの除去が終わった後、新堀川の印象が
どのように変化するか、皆さんのこれからのレポートに期待
したいと思っていますのでどうぞよろしくお願いします。
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次に95ページをご覧ください。
今回、初めて月別に新堀川のデータを整理してみたものですが、
上のグラフは4月から3月までの水の汚れの印象にいついて整理
したものです。
赤いのが汚いという1の評価、肌色がややきたないという
2の評価です
1+2でみると、4月から10月までそして3月は80%をこえていて、
あとの冬場の11月〜2月も50%を超えているのがわかります。
その下のグラフは、何でもって評価したのかを示しています。
グラフの灰色の部分は「色」で評価したもの、黄色は「におい」で
評価したものです。
新堀川では、主に色で汚れの印象を判断していることがよく
わかります。
ただ、3月と9月は黄色いところ、つまり「色」ではなく「におい」で
評価している割合も多くなっています。
3月と9月は何らかの要因で新堀川でにおいが目立つのかもしれません。
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97ページをご覧ください。
今日もおみえになっていますが、Ecoドコ堀川応援隊さんが、独自に
向田橋で定点観測をされ、その写真をご自身のホームページに
公開されています。
ご了解を得て、その105枚に及ぶ向田橋の写真を事務局で分析した結果、
非常に興味深いことがわかりましたのでご報告します。
98ページをご覧ください。
考察というところを読んでいきます。
1.向田橋では、新堀川の水の色の特徴である白濁系の色が
全データのうちの4割以上を占めていました。
白濁しているときは新堀川の水が酸素が少なくなっている
ことをあらわしています。
2.こうした白濁系の色は、大潮と中潮のときに多く発生していること
がわかりました。
3.緑色系。黄褐色系の色は、水の移動量が少ない小潮・長潮・若潮
のときに多く発生していることがわかりました。
これは水中のプランクトンの量に関係しているかもしれません。
向田橋は最上流の堀留に近い場所ですが、プランクトンに由来すると
考えられる色が報告されているなど堀留付近と異なる変化が報告されて
いますので、今後新堀川の実態をひもとくための貴重なデータであると
思われます。
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また今年春の小潮一斉調査で皆さんからいただいたレポートで
堀川と新堀川を比較をしてみたのですが、これも非常に興味結果が
でています。
100ページをご覧ください。
昨年は皆さんに大潮のときに一斉調査していただきました
そして今年は小潮のときに一斉調査していただきました。
100ページの絵は、左側が小潮のときの満潮時と干潮時のイメージ、
右側が昨年実施した大潮のときの満潮時と干潮時のイメージです。
潮位差が全く違うことがよくわかるかと思います。
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103ページをご覧ください。
今回の春の小潮一斉調査の結果をまとめたことが書いてあります。
ポイントの一つ目は、1行目、小潮のときは、上げ潮の時間帯でも
上流向きの流れになっているという報告が少なかったことです。
右側の写真は昨年の大潮のときの写真ですが、海から遡上する流れと
上流側からの流れがぶつかって、浮遊ごみがたまる、いわゆる潮目が
昨年の大潮のときには確認されましたが、今年の小潮のときには
こういう報告はありませんでした。
次に6行目のおわりのところ、さらに、新堀川の上流中流部では
下げ潮時間帯であるにもかかわらず、水の流れが下流向きにならず、
停滞している様子が報告されました。
堀川でも新堀川でも潮汐の変化の少ない小潮のときは、大潮の時に
比べて水が停滞しやすい環境になっていたと考えられます。
次に(4)のところですが、昨年の大潮のときは、干潮に近い時間帯に
、瓶屋橋から上流の幅下橋の間でヘドロの巻き上げが報告されましたが、
今回の小潮の一斉調査ではヘドロが巻き上げたという報告はありません
でした。
大潮のときは、流速が早くなりやすいこと、特に干潮のときは川底の
ヘドロ面に近いところまで水位が下がることから、ヘドロが巻き上がり
やすい環境になることが考えられます。
一方、新堀川ではヘドロの巻き上げを確認したという報告は、昨年も
今年もありませんでした。
新堀川は堀川よりも水深が深いということで、大潮で水位が低くなっても
川底は現れません。
それが、新堀川ではヘドロが巻き上がらない要因になっていると思われます。
以上が、春の小潮の調査全体に関する報告ですが、次に堀川と新堀川を
比較してみると、かなり面白いことがわかりました。
今のところは、こうした違いがあった、という事実が指摘できるだけで、
どうしてこうなるんだろう、どういうメカニズムなんだろう、と想像を
働かせる楽しさはありますが、回答がわかるのは、まだまだこれから
いろんな観察データが積みあがってからのことになります。
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それでは106ページをご覧ください。
これは水の汚れの印象を示したものです。
上段の堀川では、昨年の大潮のときは、5のきれい、4のややきれい、
3のどちらともいえないの3つの合計が18%でしたが、今年の小潮の
調査ではこの割合が26%でした。きたないという1の評価も去年の大潮
では41%でしたが、今年は26%でした。
今回の調査データでは、堀川では、大潮のときと比べて小潮のときの
ほうが、やや印象がよいという結果がでています。
一方新堀川では、大潮のときの1のきたないは17%でしたが、
小潮の今年は1のきたないは58%と6割に近い数字となっていました。
新堀川では、大潮のときよりも水の動きの少ない小潮のときのほうが
印象が悪いのでしょうか。
堀川の場合と全く逆の結果がでていました。
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107ページをご覧ください。
下のグラフの新堀川では、小潮のときのほうが汚く感じているはず
なのですが、その評価する根拠として「におい」をあげているものは
8%しかありません。
もっぱら色や透明感で評価しています。
昨年の大潮のときは、2のややきたない、という評価が多かったのですが、
評価する根拠として色が7割と多いものの、においが3割を占めているのも
興味深いです。
一方堀川では、小潮のときの透明感での評価が増えています。
これはきれい〜どちらともいえないという、いい方の評価とリンクしている
可能性があります。
つまり堀川ではあまり水がうごかない小潮のときは、結構透明感があって
それほど汚く感じないときがあるのかもしれません。
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109ページをご覧ください。
川底からわいてくるあわについて、堀川では大潮でも小潮でも
10%程度とそれほど違いはありませんでした。
一方新堀川では、大潮のときは小潮のときとくらべて泡がわいてくる割合が
多いようです。
110ページをご覧ください。
新堀川では非常に顕著に違いがみられます。
昨年の大潮のときは「におわない」は14%でしたが
小潮の今年は「におわない」が69%、つまり約7割をしめています。
新堀川については、特に昨年の大潮のときのデータ数が少ないため、
大潮と小潮を比較して色々なことを言い切ることはできませんが、
何となく色々なことが見えてくるような気がします。
特に今年の小潮については12件のデータがあるのですが
このデータだけからいってるだけのことで、それが正しいかどうかは
まだわかりませんが、ざくっとまとめると、堀川では小潮のときは
そんなに印象が悪くない割合が多い。
それに比べて、新堀川では最低の印象1を付けている人が多い。
でもあわやにおいはあまり感じない。
色や透明感が新堀川の印象を悪くしている。
そんなまとめ方ができるのかもしれませんが、実際に見てこられた
皆さんのご意見もお聞きして今後の新堀川の実態解明に結びつける
ことができれば、と思います。
これからも、ぜひたくさんのデータを事務局まで送っていただければ
ありがたいと思います。
以上で事務局の報告を終わります。
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