それでは、最初に、この15年間の私たちの活動の軌跡についてご説明させていただきます。
まず最初に、15年前の堀川がどんな状態であったのかを振り返るため、当時の堀川を記録した映像と
現在の堀川を比較した短いビデオを準備いたしましたのでご覧ください。
⇒動画 「私は堀川 2022 15年間の堀川の変化を記録しました」
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いかがでしたでしょうか。15年間でこんなに変わった堀川ですが、毎日毎日を短期的にみていると、
なかなか気づかない変化が、長期的に見ると、大きく変わってきたことにあらためて気づかされます。
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さて、それでは、お手元の堀川1000人調査隊の15年間の軌跡をまとめた資料をご覧ください。
1ページ目は堀川の概要をあらためてまとめたもので、皆さんご存じのことが多いと思いますので、
説明を割愛させていただきます。
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2ページ目をご覧ください。
3年前の令和元年6月に、日本水大賞で国土交通大臣表彰をいただいた、
私たち堀川1000人調査隊のどんな点が評価されてきたのか、
それは、市民だけでなく、行政だけでなく、市民と行政が一緒になって、
年を追うごとにステップアップしながら、市民の視点や感覚を大切にして
市民の気づきを行政が水質改善策に積極的に取り入れ、
またその行政の施策や実験の成果を市民が検証し評価することによって、
また次の施策や実験につなげるという地道な活動を長期間にわたって続けてきたこと。
その活動に多くの市民がかかわり参画してきたこと、
そして実際に堀川がきれいになるという実績をあげてきた、
そういうことが評価されてきたのです。
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3ページ目をご覧ください。
ここには2021年度末、つまり今年の3月末までの15年間に9,103件の定点観測記録が
蓄積されたと書いてありますが、6月末現在ではジャスト1万件まで増えて、現在もなお、
その蓄積されたデータは増え続けています。
こうした活動は、日本全国的に見ても、おそらくは世界的に見てもあまり例がないのでは
ないかと思います。
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4ページ、5ページ目をご覧ください。
ここには、皆さんが日々入力いただいた定点観測の結果、市民が五感で感じる
堀川の水環境の改善がグラフになって示されています。
水辺に立った時の印象の改善、かつてあれほど悩まされていた悪臭の改善、
水の透明感が改善、水の中の有機物が減少してきていることが、まさに皆さんがた
ご自身が入力されたデータ、多くの人の目でみた平均的な堀川の姿の改善が示されています。
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6ページ目は、これまでの市民調査の結果から事務局がまとめてきた、
堀川と新堀川の水の汚れのメカニズムがまとめてあります。
やや専門的ですので、説明は省略させていただきますが、名古屋市さんは
この仮説を活用して堀川・新堀川の浄化策を次々に考えられていて、
ここでも皆さんの努力がいかされています。
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7ページ目には、生き物の様子からも堀川の水環境が大きく改善していることが
わかってきたことがかかれています。
特に下の欄、かつては毎年のように、春先から初夏にかけて、大潮の前に
まとまった雨が降るとそのあと、堀川に大量に魚が浮く、ということが
年に2〜3回は起きていました。
雨で有機物が堀川に流れ込み、それを微生物が分解する時に水中の酸素を消費して、
酸素不足になった水が水位が低くなった時に、大潮の速い流れで川底のヘドロを
巻き上げるとともに魚に大きな負担をかけていたことが原因と考えられていますが、
2017年7月26日に最後の大量死が記録された後、5年以上もこの大量死が発生していません。
これは、当時から考えれば考えられないような劇的な変化、堀川の水質の改善です。
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8ページ目は、皆さんの地道な清掃活動が続いて、ずいぶんと堀川の水辺が
きれいになってきたことが書かれています。
ただ、あとでご報告しますが、コロナ禍が始まったころから、特に路上のごみが
増えている傾向がみられるようで、捨てる人と拾う人のいたちごっこは、まだまだ続いています。
最後に上下流交流について記載しています。
私たちのこの活動は2007年から2010年までの3年間だけ実施された堀川に
木曽川のきれいな水を流したいわゆる木曽川導水社会実験を検証することを
きっかけに始まりました。
残念ながら私たちの期待もむなしく、木曽川導水は現在止まってしまい、
今や若い世代はそんなことがあったことすら知らない、まさに一昔前のこと、
風化してしまいそうな過去の事実になりかけています。
ただ、私たちは木曽川導水の復活をあきらめていません。
木曽三川の上流域の方とつながりをもち理解し助け合う関係を
市民・行政が一緒になって築く努力を今も続けています。
あとのご報告でも触れますが、最近の堀川で浮上してきている難問のいくつかは、
木曽川からの導水が実現すれば、一気に解決することが考えられます。
この木曽川からの導水の復活については、あとからぜひ、行政の方からも
コメントをいただきたいと思います。
以上で、この15年間の軌跡についての資料のご説明を終わります。
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それでは、報告資料のご説明にはいります。お手元の青い表紙の資料をご覧ください。
まず、表紙の1ページ(右隅の番号がページ数です)をご覧ください。
第31ステージは、データ集計上、この6月30日までに入力されたデータで締めていますが
15年と3カ月の入力データ数が、まさに奇跡的にはジャスト1万件になりましたので、
大きくかかせていただきました。
これは本当にすごいことで、ビッグデータです。
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その下、2ページ目をご覧ください。
この資料は基本的に、前回までのデータやグラフに、新しいデータを付け加えて
修正する形で作成していますが、タイトルで黄色い色で示してあるのが、今回
新しく作成した資料で、いってみれば今回のトピックスです。
まずは、この31ステージで現れた現象についてご説明し、時間の制約もありますので、
そのあとの説明は、この黄色い項目に絞ってご報告させていただきます。
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それではまず、31ページをご覧ください。
皆さんから報告された堀川の印象は、長期的に見ると少しずつ改善方向にあるのですが、
昨年そして今年と、その改善は少し足踏みしていることがわかります。
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じゃあ、何が悪くなっているのかということですが、41ページをご覧ください。
川底からの泡の発生状況が、去年今年と、少し多くなっていました。
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44ページをご覧ください。
臭いの状況も昨年の29ステージに悪化し、今年の31ステージは
やや改善していることがわかります。
この理由については、まだ確定的なことはわかっていませんが、
おそらくコロナと関係あるのではないかと考えています。
昨年は、コロナ禍の中で、堀川に遊覧船がほとんど走りませんでした。
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45ページをご覧ください。
4つのグラフの右上が、名古屋城のある朝日橋から松重橋までのいわゆる都心部でのデータ
ですが、昨年臭いの発生状況がかなり悪化し、今年になって改善していることがわかります。
以前からこの調査隊会議で繰り返し検証を続けてきていますが、堀川に船が走ると、
プロペラの攪拌効果で水中に酸素が供給され、堀川の水質にプラスになると考えています。
昨年の31ステージは、その逆が起きたと考えています。
今年31ステージは、堀川で「堀川クルーズ」など、実験的な定期運航が行われました。
そして護岸工事のために工事の船も堀川を行き来していました。
舟の運航状況は、昨年と今年ではずいぶん違っていたわけですが、それがこの
31ステージのにおいの数値の改善に貢献しているのではないかと、
事務局では考えています。
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もう一つ、ごみについて見てみます。
57ページをご覧ください。
路上に落ちているゴミの確認頻度が31ステージは非常に多くなっています。
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58ページをご覧ください。
水面を浮遊している人工ごみの数も31ステージは多く確認されています。
この路上と水面のごみの増加も堀川の印象に大きな影響があったと思われます。
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33ページをご覧ください。
下のグラフが猿投橋から大瀬子橋橋の間で皆さんが、何をもって
堀川の印象を評価したかというのを示したグラフですが、
一番右の31ステージは、オレンジ色の「ごみ」で評価した、というのが
昨年の29ステージの6%から、31ステージの18%と大きくふえていることがわかります。
事務局では、これからご説明するお話も総合して、このごみの問題も、
コロナが関係あるのではないかと考えています。
それでは、31ステージの結果の概況については、とりあえずここでとどめさせて
いただき、先ほど2ページでご紹介した黄色いタイトル、今回のトピックスについて
ご説明をさせていただきます。
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まず、49ページをご覧ください。
ここには、堀川の上流部、城北橋から猿投橋の調査記録から浮かび上がってきたことを
ご報告しています。
49ページの上の棒グラフをご覧ください。左の城北橋から右に向かって上流に
橋の名前が猿投橋まで並んでいます。
この中でも、北清水橋(国道41号線にかかる橋)付近の印象がよくないことがわかりました。
調査回数のうち、6割近くが「ややきたない」「きたない」と評価されています。
その評価の理由として、北清水橋付近の印象は、「水面のごみ」と「あわ」の両方が
影響していると考えられます。
あわは、北清水橋より上流に多く、ごみは北清水橋より下流で、印象の評価の理由として
挙げられていて、北清水橋では、あわとごみ、両方がかさなっていることがわかります。
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50ページをご覧ください。
上の図は、地形的な特徴をイメージ図として示しています。
北清水橋から田幡橋までは、急に川幅が広くなって、流速が遅くなる場所になっています。
まず、水面を浮遊するゴミですが、左下の写真をご覧ください。
これは北清水橋で撮影されたものですが、北清水橋ではこういう光景が多く確認されています。
イメージ図をご覧ください。
この図の、白い点線の丸で囲まれている場所をご覧ください。
これは満潮で水位が高い時間帯に、下流の城北橋のごみキャッチャーや
その途中にある枯葉、枯れ枝、そのほか空き缶、ペットボトルなどの人工ゴミが
下流からさかのぼってきて、この図の白い点線の丸で囲まれている田幡橋から志賀橋の間で
滞留している様子が記録されています。
また干潮時間帯、すなわち水位が低い時間帯には、上げ潮時には上流に向かって、
下げ潮時には下流に向かって、北清水橋から城北橋の間を浮遊ごみが行ったり来たり
している様子が記録されています。
つまり、北清水橋は、満潮時間帯も、干潮時間帯も、浮遊ごみが確認されやすい場所で
あることが、定点観測の記録からわかってきました。
次に「あわ」についてですが、50ページの右下の写真をご覧ください。
上流の猿投橋では、2mを超える落差の滝になっていて、特に冬場に顕著ですが、
春夏秋いずれの季節でも滝の下で洗剤でできるような白い泡が発生し、パルプ臭を
感じることが報告されています。
この泡が北清水橋を超えて田幡橋のあたりまで流れてゆくことが記録されています。
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52ページをご覧ください。
一方で、北清水橋から田幡橋にかけては、川幅が急に広がっている場所ですが、
流速がおそくなることと関係があると思うのですが、川底に浮遊物が堆積しやすく、
ヘドロ化しやすく、川底が貧酸素状態になって白濁し、メタンガスが無色の泡となって
わき上げている様子が多数記録されています。
つまり、北清水橋は、上流から流れてくる白い泡と、下流の川幅が広い場所で発生する
透明のメタンガスの泡の両方が確認される場所で、川の印象を「あわ」で評価されやすい、
泡をみれば「きれい」という評価は出にくいので、どうしても印象が悪くなりやすい場所で
あることがわかってきました。
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そして今回、新たに分かったことなのですが、53ページをご覧ください。
この31ステージで確認されたことですが、北清水橋付近でこの写真のように、
黄色っぽく、また白っぽく濁っている状態がよく確認されました。
この黄色くなるタイミングですが、浮遊ごみが一緒にあるとき、
または浮遊ごみが通って行った跡に多く見られること、上げ潮のときによく見られ、
下げ潮になるとその黄色い水のかたまりは下流に向かって金城橋より先まで
移動してゆくことも確認されました。
53ページの真ん中の小さい写真をご覧ください。
この北清水橋から黒川橋、志賀橋付近には地下水に鉄分が含まれていて、
このように赤くあるいは黄色くなっている場所がいくつもあります。
それ以外にも川底で水面の下で鉄分を含んだ地下水が湧き出している可能性もあります。
北清水橋のこの黄色い水の原因が、この鉄分であるのか、それとも浮遊ごみと
一緒のときに多く見られることから、浮遊ごみに原因があるのか。
一つずつ明らかにしてゆくために、事務局では環境局さんに頼んで、
今年6月21日に水質を検査していただきました。
その結果が53ページの右側のグラフです。
水質は、水が黄色くなっていた北清水橋、黄色くなっていなかった下流の城北橋、
そしてやはり黄色くなっていなかった猿投橋の3か所、そして地下水を調べるという
意味合いで、北清水親水広場のわくわく地下水の4か所で調べていただきました。
まず、PHをみると、3つの地点はどの場所もほぼ中性、わくわく水だけは少し酸性に傾いていました。
くっきりと結果が分かれたのが鉄分です。
黄色くなっていた北清水橋のサンプルは城北橋、猿投橋の黄色くなっていなかった水と比べて
鉄分が約4倍も含まれていました。
しかしわくわく地下水は、わきでてくる水脈が違うのか、ほとんど鉄分を含んでいませんでした。
もうひとつ、環境局さんが、当初予定していなかった検査なのですが、黄色くなった水が、
やや白濁しているのを見て、ひょっとして溶存酸素が不足しているのかも、と考えられ、
持っていた簡易調査キットで調べたところ、城北橋や猿投橋と比べて、北清水橋は
4分の1以下しか溶存酸素がなかったこともわかりました。
北清水橋の水も、いつもいつも黄色くなり、白く濁っているというわけではありませんが、
北清水橋付近は鉄分を含む地下水が流れ込みやすいこと、川幅が急に広くなって
有機物が沈殿しやすいこと、その汚れを微生物が分解する過程で酸素を消費し、
溶存酸素が少なくなって白濁しやすいこと、そしてメタンガスがわきあがりやすい環境に
なっていること、上流の猿投橋で発生する泡が流れてきやすいことなど、印象が悪くなる要素が重なっている、ということが今回あらためて確認されました。
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実は、北清水橋付近は、2007年から2010年に木曽川からきれいな水が入ってきていた時に、
最も効果があらわれた場所でした。
木曽川からの導水があったときは、猿投橋の泡も希釈されて消えやすくなっていたのか、
北清水橋付近ではあまり問題になりませんでした。
木曽川の導水で、水中の酸素濃度が高くなり、川幅が広くなった場所でも、ヘドロがたまりやすい
とか、川底から泡が湧いてくるという報告も目立たず、3年間の導水実験が終わった時に、
庄内公園からもってきた足漕ぎボートにのるイベントをしたときには、ボートの上から見て、
川底がきれいな白い砂地になっていて、私自身もとても驚きました。
この北清水橋付近の抱えている問題は、木曽川導水が復活すれば一挙に解決する可能性が
高いと私は思っています。
またこの付近の水がきれいになって下流に流れてゆけば、都心の中流部にも、かなり
大きな好影響があると思います。
それは、15年前と比べて、雨による影響、つまり合流式下水道の弱点解消が進み、
護岸の回収に合わせてヘドロの浚渫も進み、魚が大量死することがなくなるなど、
堀川の基礎的な条件が以前とは全く違う生まれ変わった堀川になっているからです。
そこにさらに、木曽川からのきれいな水が入ってきたら、都心部、そしてその下流部の
堀川の水環境の改善は一気に進み、そのきれいになった堀川の水を新堀川に導水する
などの利用を考えれば、堀川だけでなく、新堀川も含めた名古屋の水辺環境はがらっとかわり、
魅力ある水辺とを持つ都市になり、名古屋の都市の価値のアップ、そしてこの地域全体の
潜在力アップに必ずつながるのではないか、という希望を私はもっています。
ぜひそうなってほしい、皆さんにも、きっとご賛同いただけるのではないかと思いますが、
ぜひ後ほどの意見交換会でご意見をお聞かせいただければと思います。
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さて、2番目の報告です。
57ページをご覧ください。
先ほども少し触れましたが、最近、拾っても拾ってもゴミのポイ捨てや放置が後を絶たない、
という印象があります。このグラフは、路上に落ちているごみの確認種類数のグラフです。
ひとつ注意していただきたいのは、ゴミの数ではない、ということです。
皆さんの調査で報告され、18種類に分類した人工ゴミ、例えばペットボトル、空き缶、たばこ、
レジ袋、発泡スチロールトレイなどを確認したら種類ごとに1種類とカウントし、たとえば
1回の調査で5種類のごみを確認したら5カウントとして集計したものです。
路上ゴミは、数を集計してこなかったので、こういう集計方法をとっていますが、
31ステージは、これまで減少傾向にあった路上ゴミが増加傾向にあることを示しています。
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58ページをご覧ください。
これは、水面に浮いていたごみの確認数を、調査1回あたりに平均いくつの人工ゴミを確認したか
というのをグラフにしたものです。
これまで増減を繰り返しながらも少しずつ減少傾向にありましたが、31ステージは
1回の調査当たりの人工ゴミの確認数が、1.7個に増加しています。
このデータについては、調査隊の皆さんが、確認したごみを確実に入力したかどうかで
ばらつきが出てくる可能性があるという面はありますが、印象として、最近人工ゴミが
増えているというイメージと、データは一致しています。
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59ページをご覧ください。
ごみが増えたのはなぜでしょうか?
この疑問に対して、事務局で一つの仮説を立ててみました。
「新型コロナ対策の3密回避が、捨てられるごみの増加と関係しているかもしれない」
という仮説です。
報告されたデータや、皆さんから送っていただいた写真を調べて、どんな場所で
ゴミが多く捨てられているのかを調べてみました。
すると、ゴミが多く捨てられている場所は、コンビニの周辺、ファーストフード店の周辺、
大規模小売店の周辺、ビジネス街周辺、車の駐車ができる路上の周辺、
ゴミステーション(マンションのごみ置き場など)周辺などに多いことがわかりました。
そしてその場所は、水面であったり、広場や公園などの水辺であったり、橋の上であったり
護岸や、植生帯(植え込み)であったり、歩道であったり、ベンチや階段など座れる場所で
あったりすることがわかりました。
新型コロナ禍で求められる3密回避の行動とは、どんな行動なのか。
それをイメージした図をご覧ください。
市民は、住宅地やビジネス街近くのコンビニやフライドチキンなどのファーストフード店、
スーパーなどでテイクアウトした飲み物、食べ物、たばこを、飲食や喫煙しやすい
戸外の解放された広い空間、つまり水辺、広場、公園に移動し、食べたり飲んだり
喫煙したりした後、そのごみを放置、ポイ捨てしているのではないか?
もちろん誰がといえば、ほんの一握りの市民であると思われるのですが、
それを示唆するものとして、同じような銘柄のノンアルコール飲料、お菓子の袋、
空き缶が、同じ場所に繰り返し繰り返し置き去り、ポイ捨てされているのが確認され、
写真で記録されています。
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60ページをご覧ください。
ごみが捨てられている場所を記録した写真です。
木津根橋のすぐ近くにはコンビニがありますが、橋の下には大量のごみが
投げ込まれている様子が、繰り返し見られます。
志賀橋にもコンビニがありますが、橋の上や近くの黒川橋のベンチには、
置き去りにされた空き缶やお菓子の袋、アイスクリームの串などが頻繁に確認されました。
ビジネス街では、錦橋付近でも、テイクアウトした昼食の残骸が頻繁に確認されています。
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61ページをご覧ください。
コロナだけでなく、コンビニ袋の有料化に伴い、路上ゴミの捨てられ方にも
変化がみられるように思います。
飲み物や食べ物の残骸が、袋に入ってまとめて捨てられている光景は少なくなりました。
ホリゴンの吹き出しの中に書いてありますが、
まずお手拭きの袋がここに、その先にお手拭きが、飲み物の容器があちらに、
おにぎりのビニール袋がそちらに、アイスキャンディの棒がこちらに。
近年の路上ゴミには、いろいろな場所にばらばらと放置、投げ捨てられているという特徴も
見られます。
これは、コンビニ袋の有料化によって、袋をもらわなかった人が、購入した食品を、
歩きながら飲んだり食べたりして、袋がないから、ゆく先々で放置・投げ捨てをする行動を
しているのではないか。
最近の路上ゴミのひとつの特徴として表れているように感じています。
ここには書かれていませんが、(あくまで)私個人の受けている感覚ですが、
捨てられている飲み物は、最近、ノンアルコール飲料や飲むヨーグルト、おかし、
チキンなどのごみが多く、少し前までよく見られた「ワンカップ大関」のようなお酒の瓶は
あまり見かけることが多くなくなったという気がしています。
ゴミを捨てる市民の世代交代が進み、あまり罪悪感を感じることなくポイっと捨てている
若い世代の姿が思い浮かびます。
一方では、ゴミを捨てる場所も、わざわざ目につきにくい植え込みの中や、護岸の草が
生い茂っている場所に遠く投げ込む、という傾向も見られます。
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62ページをご覧ください。
うるおいのある水辺を演出するためのベンチが裏目に出ている事例です。
例えば堀川上流部の御用水跡街園などは、川を背にしたり、川側にあるベンチは、
遊歩道を挟んで反対側にあるベンチと比較すると、川の護岸の斜面にごみが
投げ込まれているのをたくさん目にします。
特に傾斜のきつい護岸は掃除がしにくいため、大量のごみがたまり、まるで
ゴミ捨て場のようになっています。
ベンチが川側になければ、護岸に捨てられるごみが減って、同じ捨てるにしても
私たちでも掃除しやすい場所に捨ててもらえるように思います。
今後、ベンチの設置の仕方など、整備の在り方に工夫をするご参考にしていただければと思います。
また、「ポイ捨て禁止看板」ですが、かつてはたばこのポイ捨てが目立ったため、
たばこだけをデザインした看板が堀川上流部に今も取り付けられていますが、
ポイ捨てする人が世代交代し、捨てられるごみの種類が変化してきているので、
若い世代にとって、たばこのポイ捨て禁止だけでなく、空き缶、お菓子の袋など
自分たち若者が訴えられるターゲットになっていることを意識できるような
ポイ捨て禁止看板になるよう、工夫していただければと思います。
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63ページ、64ページには実際に捨てられていたごみが記録されています。
捨てられやすい場所が次第にわかってきていますので、効果的な啓発方法を
みんなで知恵を絞って考えていかないと、捨てる人と拾う人のいたちごっこは、
限りなく続いてしまうように思います。
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次のご報告は、水質浄化のために植えられた護岸のヨシについてです。
前回の調査隊会議で、金城橋から田幡橋付近に植えられたヨシが枯れて、
それが大量のごみとなって堀川の水面を浮遊し、上げ潮、下げ潮にのって、
行ったり来たりし、ゴミキャッチャーにもなかなか回収されず、堀川上流部の印象を
非常に悪くしていることをご報告しました。
浄化のために植えたヨシが、かえって堀川の印象を悪くし、枯れた草が沈めば
またヘドロの元になってしまうので、枯れたヨシを刈り取るなど、適切な管理をして
いただきたいという要望を前回の調査隊会議で私たちからお願いし、令和4年度には
予算を確保して手入れをしていただくというお答えをいただきました。
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それについては、このあと名古屋市からのご報告で、今年の予定について
ご報告していただきますが、このヨシについて、この31ステージの市民調査で
さらに次のことがわかりました。
中土戸橋の上流は、城北橋に方に向けて東側にカーブしていますが、
ここのヨシは、昨年冬にいったんきれいに刈り取りをしていただきました。
その一方で、金城橋から田幡橋のヨシは、刈り取りされないまま、
新しく今年のヨシが生えてきました。
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その二つの場所で、次のようなはっきりした違いが確認されましたのでご報告します。
それはどういうことかというと、冬場に刈り取りされた場所は、次の年のヨシがきれいに
生えてきたのに対し、刈り取りされなかった金城橋のヨシは、古いヨシを水面に
押し倒すようにしてはえてきたことです。
そして古いヨシは枯れたまま水面に落ち、春から夏の間、浮遊ごみとなって
堀川の水面を上げ潮下げ潮に乗って行き来していました。
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もう一つの発見は、刈り取りされた方の中土戸橋のヨシに比べて、刈り取りされなかった
金城橋のヨシは、夏の終わりごろから早々と枯れ始めたということです。
これについては、短いアニメーション動画が作成してありますので、下記でご覧いただきます。
⇒堀川のヨシの生育の様子(2022年8月製作記録動画
)
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いかがでしたでしょうか。
資料の73ページから79ページまでにこの動画の元になった写真と説明が
掲載されていますので、あとでご覧ください。
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80ページと81ページは、刈り取りされなかったヨシの枯草が浮遊ごみとなって、
集積したりばらけたりしながら堀川上流部を行ったり来たりしている様子を
記録したものです。
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この浮遊ごみは、先回もご指摘した城北橋のごみキャッチャーの運用上の限界、
つまり満潮時の水位が低いときは、ゲートが開かない、土日祝日はメンテナンス上の問題
からゲートが開かない、強い雨が降った時はゲートが開かない、潮の動きによっては、
下げ潮時でもゴミキャッチャーまでごみが到達しない、などの限界から、
ヨシの浮遊ごみをゴミキャッチャーで回収することはとてもむつかしいことがわかりました。
やはり、「刈り取り」というメンテナンスが欠かせないことがわかってきましたので
ご報告します。
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さて、もう一つ、今年発生した自然ゴミについてご報告します。
それは、堀川上流部で、水草が非常に多くはえ、その水草が大量に下流に流れ出して
浮遊ごみとなり、堀川の景観を悪くしたことです。
69ページの写真をご覧ください。
これは猿投橋の一つ上流、滝の上にある稚児宮人道橋から上流側を撮影した写真です。
左上は今から12年前の2010年7月の写真、右下は、今年2022年7月の写真です。
2010年ころと比べると、その右の2016年は少し水草が増え2021年にかけて水草が増え、
今年2022年は、川底がびっしりと水草に覆われています。
なぜこうなったのか、理由はよくわかりませんが、2022年の今年の写真を見ると
護岸の草木が整備され、日差しがよくあたるようになったことが原因かもしれません。
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しかしこの水草はこの付近だけではありません。
70ページの写真をご覧ください。
この鉄でできた網目のようなものは、矢田川の伏せ越しの上流側の
守山区の旭橋に設置してあるものです。
伏せ越しに、ごみが流れ込まないように、このスクリーンで浮遊ごみを除去する
装置になっています。
この夏、ある日私が気が付いたのですが、庄内川からの導水が止まっていないはずの日に、
猿投橋まで水が来ていないので、おかしいと思って名古屋市にお聞きしたところ、
名古屋市が調べてみたら、70ページの右上の写真がその日の写真ですが、
旭橋の上流の水草が大量に流れてきて、鉄のスクリーンに大量に引っかかって
目詰まりを起こし、庄内川の導水がそこでせき止められてしまっていたことがわかったのです。
このスクリーンは、守山土木事務所が定期的に手作業で目詰まりしないように
ゴミの除去作業をしていただいているそうなのですが、今年はそれがおっつかないほど
大量の水草が流れついたことが原因だったそうです。
その後、土木事務所の方の作業のおかげで導水は復活しました。
庄内川の導水は、大雨が降った時や、堀川上流部で子供たちが堀川観察会をするときは
導水を止めて、水位を下げるときがあります。
こうしてこの夏は、先ほどの稚児宮人道橋付近などで、たびたび導水が来なくなって
水位が大きく下がり、水中の水草が水面上に露出して直接強い日光を浴びたりして
弱ったところに、導水が復活したり大雨が降って雨水が流れ込んで、水の流れが
速くなったりすることを繰り返しました。
そのたびに、ちぎれた水草が、かなり大量に猿投橋から落ちて下流に流れてしまう
という現象が何度も繰り返されました。
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その結果、たとえば志賀橋から東田幡橋でどういうことがおこったのか、
ということを記録したのが71ページの写真です。
流出した水草が浮遊しているうちに、かたまりになったり、護岸に打ち上げられたり、
護岸の柵に引っかかったりする光景が頻繁に繰り返されました。
右下の写真は、9月の中秋の名月の大潮のときに、黒川橋付近で、満潮のときに
水位が高くなりすぎて護岸の遊歩道に堀川の水があふれだし、水面にいっぱい浮いていた
水草が護岸に打ち上げられ取り残されたあとです。
この写真を撮影した翌日、堀川一斉大掃除があり、このごみはいったんきれいになりましたが、
その後台風による増水で、また同じ状態になってしまいました。
この水草のごみは台風のあと、熱田区付近まで流れていっていることも確認されています。
この水草の問題は、自然との闘いで、対策が困難ですが、今回の31ステージで
あらたに確認された頭の痛い問題のひとつです。
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今日は、このほかにも、新堀川の最上流部で、生きているクラゲが確認されたこと、
それによって新堀川ではひょっとしたら毎日2回ある干潮のうち、1回で新堀川の水の
体積にして4割近くが入れ替わっている可能性があることがわかったことなど、
興味深い話題をご紹介したかったのですが、これらについては、時間の制約もあり、
もう少し検証を進めたうえで、また後日ご報告できたらと思います。
本日は、コロナ禍で、少し改善に足踏みがみられるものの、以前と比べ、
かなり水質の良くなってきた堀川で、かえって目立つようになった浮遊ごみ、
路上ゴミにまつわる話題を中心にご報告させていただきました。
まだ観察途上で、これからも色々な変化があると思います。
ぜひ皆さんでウォッチしていただき、日ごろの調査報告の中で、短いコメントで結構ですので
コメントしていただいたり、事務局に写真を送っていただければありがたいと思います。
以上で、事務局からのご報告を終わります。
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