堀川を清流に
  堀川1000人調査隊2010

         活動の記録




   堀川1000人調査隊が、

   第1回 なごや環境活動賞
の表彰式でスピーチした

   活動紹介の内容です。         

   

        日時    平成24年2月7日(火)  13;30〜
        場所    中区役所ホール





事務局より

  平成24年2月7日に開催された、第1回なごや環境活動賞で発表した
  堀川1000人調査隊の活動紹介の内容です。






1.はじめに 

 
 本日は、堀川1000人調査隊の活動に対して、ご評価をいただき、
たいへんありがとうございました。

 本日もたくさんの隊員の皆さんがご来場されていますが、
堀川1000人調査隊のネットワークで活動する、たくさんの
名古屋の市民のひとたちにとって、大きな喜びと、大きな励みに
なったと思います。

 堀川は、歴史的に見ても、また環境首都なごやのこれからにとっても、
広い意味でとても重要な資源であり、堀川の浄化は、行政にとっても、
市民にとっても、とても大切な課題だと思っております。

 またこれからご紹介するように、堀川を愛する市民の活動は、
とても情熱的であり、多彩であり、極めて多様で、たいへん
たくさんの人が参加しています。

 また行政ともうまく連携してきており、21世紀の新しい時代の、
市民と行政の協働のひとつの先進的なモデルケース、であり、
いわば、「名古屋モデル」といってもよい事例ではないかと
私個人としては思っています。

 本日の私の発表では、そういう観点からお聞きいただければ
ありがたいと思います。




2.堀川1000人調査隊について 

 堀川1000人調査隊が始めてスタートしたのは、今から約8年前、
平成16年のことです。

 しかし、今のように大規模で長期的な取り組みに移行してのは、
今から約5年前、平成19年4月からのことです。

 現在活動している第3次調査隊は、2つの大きな目的をもって
平成19年4月に、165隊、2,262名でスタートしました。

 その目的のひとつは、行政、すなわち名古屋市が実施した
堀川浄化の社会実験、「木曽川からの導水」の効果を、
市民の視線で検証する、ということです。

 この目的は、その後、熱心な市民の調査活動により、どんどん進化、
革新をとげました。

 現在では、これまであまりよくわかっていなかった、堀川の汚染の
メカニズムや、堀川の実態解明に迫る、というレベルに進化をしてきて
います。 

 もうひとつの大きな目的、
それは、堀川を愛する市民の輪を広げる、ということです。

 第1次隊、第2次隊の水質調査活動を展開する中で、
市民の中には、「堀川の浄化は応援したいが、調査活動への
参加となると・・・」と、二の足を踏む人がたくさんいることを
肌で感じていました。

 そこで平成19年からスタートした第3次調査隊では、
「堀川を応援する気持ちがある人なら誰でもOK」
「自由な立場で、自分のできることで堀川を応援してください」
「会費や義務はありません。堀川を応援して下さる方なら、
 どなたでも参加できます」

 このような主旨で、堀川応援隊の募集をはじめました。





 こうして、堀川応援隊を含めた堀川を愛する人の輪は、どんどん広がり、
この5年間で、約10倍。 2万人を超えるネットワークに成長を続けて
います。

 このネットワークの広がりが、あとで述べますが、堀川1000人調査隊の
大きな特徴であり、また大きな力になっています。




3.堀川1000人調査隊の特徴

  堀川1000人調査隊の特徴は、大きく分けて4つあげられます。

(1) まず第1に、

 堀川1000人調査隊は、官と民が協働をしているのですが、
その最大の特徴は, 「ステップアップ型協働」と、私たちが呼んで
いるものです。

 行政(名古屋市)が、堀川浄化の社会実験をする、
その効果を、市民が、市民の視線で検証し、評価する。
あるいは提言を行う。

 それを受けてまた行政が新たな施策や実験を行う。

 それをまた市民が検証する。

こういった、官と民の間で、お互いに、きちっとキャッチボール
続けてきていることです。





 たとえば、平成17年11月に、名古屋市は、名城水処理センターから
下水の処理水を放流する直前の工程で、凝集剤を添加し、
水中の浮遊物質を少なくする実験を1ヶ月間実施しました。

 私たち市民は、その実験の効果を検証するために、
第2次堀川1000人調査隊調査隊を結成しました。

 そして、凝集剤の効果で、堀川の透視度がぐんと上昇し、
実験の効果があったことを、市民の視線で確認しました。

 それを受けて、名古屋市は名城水処理センターに、
本格的なろ過装置を導入することを決定。

 4年後の平成22年5月にろ過設備が導入されました。

 私たちは、その成果を現在確認中ですが、これまでのところ、
ろ過装置の効果が出ているのか、木曽川導水が停止した
平成22年3月以降も、名城下水処理センター近辺の透視度は
ある程度の透視度を保っていると市民調査のデータが出ています。

 このように、官が実験する、市民が検証する、
また行政が実験・施策を実施する、それをまた市民が検証する、

 こういう、キャッチボールを続けながら、お互いにステップアップを
してゆく、という、名古屋型官民協働は、堀川浄化に、着実な実績を
積み上げつつあり、これが堀川1000人調査隊の、大きな特徴に
なっています。





2) 2つ目の大きな特徴は、

 堀川1000人調査隊は、ホームページや一斉メールなど、
インターネットを使って、多くの人が情報を共有し、発信している
ということです。

 第1次堀川1000人調査隊が立ち上がった、平成15年当時は、
まだ今ほどインターネットは普及していませんでした。

 しかし、1000人、2000人規模の隊員が、情報を共有しあうのに、
電話やファックス、手紙などでは、時間も、お金も、エネルギーも、
バカになりません。

一方で、当時、堀川に関心の高い層というのは、インターネットを
あまり使わないシルバーの人たちが多かったのも事実です。

 そこで、第1次調査隊を募集したときには、
たとえば隊長さんがご年配でインターネットがつかえないときは
ぜひ、お子さんやお孫さんなど、若い人を副隊長に誘って
通信係をお願いしてください、という呼びかけをしました。

 これによって、1000人、2000人規模の大規模な市民調査隊が、
リアルタイムに情報を共有しながら、整然と連携するシステムが、
一気に構築されました。

 一方で、このIT化は、若い世代を大量に堀川1000人調査隊に
引き入れることに成功するという、うれしい誤算にもつながりました。

 
 今となっては、ごく当たり前のインターネットによる情報共有ですが、
こんな現象も次第に出てきました。

 というのは、堀川を愛し、堀川の活動をする方の中には、
ほかの活動、たとえば防災や防犯、たとえば地域活動、
たとえば歴史・芸術・文化という活動も、同時にしていらっしゃる方が、
たくさんおみえになります。

 いわば、2足・3足のわらじをはいているわけです。

 そうした人たちが、堀川を接点にして情報共有したり、
あるいは堀川を愛する人というキーワードを接点にして、
他の活動の紹介もしたい、というニーズにも、堀川1000人調査隊の
ホームページはこたえていくようになってきました。

 そこから、たとえば園芸や、音楽を愛する人に広がって行ったのが、
堀川を花で飾る、堀川フラワーフェスティバルであったり、
堀川で合唱をしてみようという堀川音楽祭であったり、
ものづくりを愛する人に広がっていったのが、堀川エコロボットコンテスト
であったりするのです。

堀川を接点に情報が集まり、堀川を接点に情報が広がる、

情報で堀川のネットワークが広がり、
情報で堀川のネットワークが強化される
という、
好循環も生んできているのです。






3) 第3の特徴は、堀川応援隊です。

  堀川応援隊を含むネットワークは、
いまや21,000人を超えるものに成長を続けています。
   
 堀川応援隊同志である、という接点で、連携ができているのです。

 また、この連携は、まったく面倒な拘束がなく、自由でゆるやかな連携
であるのが特色です。

   指示も命令もありません。

   一緒にやりたい人が、一緒にやりたいときに連携すればいい。

   そうでないときは、はなれて活動していればいいし、休んでいてもいい。

   会費も義務も、何もない、自由でフラットなネットワークです。

  こうした堀川応援隊によって、多様な市民が、
自由に、気楽に参加できる体制ができあがりました。

  
 調査活動はちょっと抵抗があるが・・・という人も、

私は歴史ウォークのガイドなら、
  私は音楽のことなら
    私は写真をとることなら、
      私は絵を描くことなら、といった形で、

知り合いの知り合いの、そのまた知り合い、といった人が、
どんどん活動に参加していただけるようになってきています。

 そうした背景には、多くの人の心の中には、
「何か、人の役に立ちたい」という温かい気持ちがあって
 そうした気持ちを持つ人に、活躍の場が提供される仕組みが
できてきている、ということのように思われます。

 多くの市民団体が、人の不足、スキルの不足に悩み、
人材の確保に頭を悩ませていると思いますが、
堀川応援隊は、ネットワークを広げながら、
同時に人材の発掘、開拓という、ヒトの問題の解決に、
ひとつのヒントを与えているように思います。





(4) 4つめの特徴は、

 堀川のネットワークが、名古屋という一地方、一流域からはみ出して
木曽川や、木曽三川、伊勢湾などの流域の人たち、あるいは、
東京・大阪・広島など、他都市で活動する人たちとのつながりが
広がりはじめ、少しずつですが、より大きなネットワークに成長を
し始めているということです。

 最初のきっかけは、木曽川の水を堀川にいれていただくことで、
堀川がきれいになった、ということで、たくさんの人たちが木曽川への
関心が生まれ、高まっていった、ということでした。

 そして、木曽川から水をいただくには、木曽川流域や、
木曽三川など、流域に住む方々の理解が必要であることがわかってきた。

 でもその理解をいただくためには、自分たちも、そうした流域の方たちの
努力や悩みを理解する、つまり、相互理解を深めないといけないことが
わかってきた。



そういうことから、たとえば木曽地域の人たちと交流会をしてみよう、
木曽地域にみんなで出かけて行ってみよう、という形で
流域交流会が実施されるようになってきました。

 堀川浄化の問題意識を出発点に、視野が少しずつ広がり、基本的には
堀川に軸足をおきながらも、流域の諸問題を、流域全体で考える、
という視点が私たちに育ってきています。

 それは、とりもなおさず、市民としての新たな成長、
都市としての成熟にもつながってゆく。
 そういうきざしともいえるのではないかとも思います。




それでは、具体的に、堀川1000人調査隊の活動の様子をご紹介します。

4.これは、定点観測隊の水質調査の光景です。

  いつ、どこで調査するかは、それぞれの調査隊に任されています。

  各調査隊の調査結果は、インターネットで報告され、
事務局のサーバーに蓄積していきます。




 このデータベースは、希望があれば大学調査隊などにも公開して、
研究に使っていただいています。

 たとえば中部大学における、堀川のにおいやゴミの研究にも
大いに役立てていただいています。
  
 この5年間の定点観測隊の調査件数は2,500件にも及びます。

 行政調査と比べて、圧倒的に多いこのサンプル数をもとにした分析。

 そして、大学、企業などの自由研究隊の調査・研究で、
これまでよくわかっていなかった堀川の実態、汚染のメカニズムが
徐々にあきらかになってきました。

 ということは、堀川再生のための処方箋づくりにもつながってゆくと
考えています。





5.堀川1000人調査隊、堀川応援隊の人たちは、
こどもたちの環境学習にも協力しています。


 たとえば堀川上流部では、毎年夏場になると、
近くの区役所などと連携して、堀川1000人調査隊の
いくつかが協力し合って、生き物観察会や、川遊びの
体験学習会を開催します。

 昨年の夏にも、のべ10回以上、300名以上の小学生が
堀川で水辺の体験をしました。

 堀川で遊んだ子供たちが、堀川を愛する大人になって、
堀川をきれいにして欲しい


 世代を超えた夢が、今の大人たちの強力なモチベーションです。




6.堀川を学ぶための各種講演会、勉強会、現場見学会、
 フォーラムも、行政と市民が協力し合って数多く開催されています。





7.ごく一般の市民の方は、まだまだ堀川に関心が薄いことも
  理解しています。


  そうした人たちに、少しでも関心をもっていただくために、
たとえば環境デーなごや、鍋屋上野浄水場の開放デーなど、
行政のイベントと連携して、啓発ブースを出展したりする活動を
頻繁に行っています。

  こうしたイベントへの参加は、色々な調査隊・応援隊が、
かわるがわる実施しています。

  こうした折に、堀川応援隊の勧誘も実施し、
イベントを実施するたびに、ネットワークの輪は
ぐんぐんと広がってきました。

  また、こどもたちに関心をもってもらうために、
「ホリゴン」というキャラクターも活躍しています。





8.定点観測隊の調査で、堀川に浮いているごみの多くは、
  陸上から風でとばされたもの、ということもわかってきました。


  ならば、陸上を掃除してきれいにしたら、堀川に浮くゴミは
すくなくなるのでは?

  そういう仮説を立てて、調査活動のついでに、あるいは、
みんなで一緒に、といった具合に、清掃活動の頻度が増してきました。

  案の定、堀川に浮いているごみは、5年位前とくらべ、
格段に少なくなっており、それは現在の定点観測隊の
調査データでも検証されています。




9.堀川1000人調査隊・堀川応援隊に参加する人たちは、
  たくさんのイベントを堀川で実施します。



そのイベントをすること、あるいは企画し、準備すること自体が、
インターネットという顔の見えないネットワークを、お互いに顔のわかる、
心の通じ合った、あたたかい、強いネットワークに育ててきました。


今、そうしたネットワークは、木曽川流域の人たちとの間にも
築かれつつあります。


木曽川上流域との交流会は、平成20年から毎年12月に
4回の実績を積み重ねてきました。

今年3月には、岐阜県揖斐川町の人たちとも交流会を予定しています。






10.そしてこれから


名古屋の堀川で生まれた、
官と民の強力なステップアップ型連携・協働

それを、息長く続けるネットワーク、

「インターネット」と「フェイス to フェイス」をバランスよく活用した
成長するネットワーク、

何かヒトの役にたちたい、という潜在的な人材を発掘・開拓し続ける
自由でゆるやかなネットワーク、

そして地域を超え、流域に広がるネットワーク。

堀川1000人調査隊の活動は、
多くの市民の参加と連携・努力で着実に実績をあげてきました。


市民と行政がお互いの強みを生かし、弱みを補い合って、
ステップアップしながら協働してゆく姿は、
「名古屋モデル」といってもよい、
新しい時代のひとつのモデルになるのではないのでしょうか。


 いつの日か、堀川に清流がよみがえることを夢見て
これからも活動を続けてゆきたいと思います。 







ご静聴ありがとうございました。


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